(2021/1/13 05:00)
新型コロナウイルス禍で東京一極集中の脆弱(ぜいじゃく)性があらわになった。巨大災害に耐える強靱(きょうじん)な国づくりのためにも、コロナの痛みを地方創生と一極集中緩和の推進力に転換したい。
変化の兆候はみてとれる。2020年は東京都から地方への移住や企業の本社移転が散見された。東京都からの転出者は7月から5カ月連続で転入者を上回り、計約1万7000人の転出超過になった。
埼玉県は、その格好の受け皿になっている。4―11月に転入者が転出者を1万1000人余り上回り、全国で最多の転入超過となった。転入者は東京都からが4万7968人と最多で、次いで千葉県が9806人、神奈川県が9587人。
埼玉県の担当者は「テレワークが普及し、都心へのアクセスもよい。また自然災害のリスクが少なく、不動産価格も都内より安いなどの理由で注目されているのでは」とみている。
若者の意識の変化も影響していそうだ。マイナビが21年3月卒業予定の大学生・大学院生を調査したところ、テレワークなどの普及で勤務地が自由になった場合の理想の居住地は、「地方」(約54%)が「都市(東京以外)」(約30%)や「東京」(約15%)より突出して高い。
ただ一極集中の緩和はそう簡単ではない。高度経済成長期の終焉(しゅうえん)や石油ショックなどの景気後退期には東京への人口流入が弱まる傾向がみられた。コロナ不況の長期化による経営難を乗り切るため、地方拠点を縮小し、経営資源を東京に集中する企業が増える可能性もある。
他方で、コロナショックによって急拡大したリモートワーク環境は、今後、一定程度定着しそうだ。東京に本社を置く大企業の中には、事業継続を主眼に災害時の代替拠点やサテライトオフィスを都外に新設するところも出てくるとみられる。
東日本大震災から3月11日で10年になる。切迫性が指摘される首都直下地震など、巨大災害リスクから目を背けてはならない。官民挙げて一極集中緩和に向けた議論が深まることを期待する。
(2021/1/13 05:00)
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