社説/バイデン大統領就任 国際協調への回帰を歓迎したい

(2021/1/22 05:00)

米国の国際協調路線への回帰を素直に歓迎したい。ただ新型コロナウイルス感染症対策や中国との覇権争いなど、対処すべき課題が待ち構えている。日本は同盟国・パートナーとして、連携して世界の難局を乗り越える役割を果たすべきだ。

米国の第46代大統領に民主党のジョー・バイデン氏が就任した。就任演説でバイデン大統領は「団結(unity)」という言葉を何度も使い、「私を支持した人、しなかった人のためにも一生懸命闘う」と述べ、国民に融和を訴えた。それだけ分断の歪みが大きいということだ。

当面は国内問題に大きな時間を割くことになろう。折しも米国のコロナ感染による死者数が、第2次世界大戦の戦死者を上回った。着実なワクチン接種や、マスク着用の義務付けなどで国民の公衆衛生意識を刷新し、何としても感染の抑制を実現してもらいたい。

経済対策として1・9兆ドル(約200兆円)の巨額拠出も表明した。国民への現金給付や企業支援を講じる。米国経済は個人消費が支える割合が大きい。雇用増と消費拡大が進めば、世界経済にも好影響を及ぼす。

バイデン大統領は就任直後に気候変動に関する国際枠組み「パリ協定」復帰文書に署名し、世界保健機関(WHO)脱退の手続き取り下げを命じた。米国が国際協調路線に戻ることを国内外に知らしめる効果を狙った。米国のパリ協定復帰で、世界の脱炭素への取り組みが一気に加速するのは間違いない。

外交面での課題は対中国政策である。ブリンケン国務長官候補は、議会の公聴会で対中戦略として「日本や豪州、韓国との協調を通じて、中国の不公正貿易慣行を改めさせる」と述べた。トランプ前大統領がとった一方的措置を、同盟国による包囲網へと転換し、中国の変化を促す戦略だ。

米国が世界のリーダーとして国際秩序を主導する時代は去った。民主主義という価値観を共有する国々が、経済回復や気候変動対策など、地球規模の課題解決に協力して取り組む、真の国際協調へ歩みだす時だ。

(2021/1/22 05:00)

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