(2021/2/1 05:00)
新型コロナウイルスによる景気後退と働き方改革の中で、より成果を重視した新たな賃上げ方式の確立が望まれる。
2021年春の労使交渉(春闘)が事実上、始まった。5日に予定されている連合の「闘争開始宣言」に先だって、すでに経営側に要求を伝えた組合もある。
今年の交渉が“官製春闘”からの脱却を問われていることは明らかだ。政府は昨年まで、日本経済再生の手段として一律のベースアップ(ベア)を求め、経営側はこれに応じてきた。しかし大企業がベアを続けても民間消費は拡大しなかった。
経営側も労働側も、目下の課題認識は一致している。コロナが収束した後も「新しい時代に対応した変革」が求められ、働き方そのものが変わる。また賃金引き上げの流れを維持していくことについても、労使の意見の差は小さい。
大きな違いは、その方法である。経営側は2%程度の賃上げ目標について「共感や理解が得られにくい」と一律賃上げを否定。労働時間法制では、ジョブ型を含めた「新しい法制を議論すべきだ」と主張する。対する労働側は「将来不安の払拭(ふっしょく)」としてベア継続を求める一方、長時間労働につながりかねない労働時間法制の見直しは受け入れられないとの立場だ。
テレワークに代表される働き方改革が急速に進む中で、従来方式にこだわる労働側の主張は保守的に過ぎる。確かに賃金不払いの残業が横行するようでは困る。しかし自宅での労働を職場と同じように時間で管理するのが適切だろうか。
職務の性格に応じて成果型給与への移行を進め、性別や雇用形態にとらわれない賃金体系を構築すべきだ。その上で生産性を高め、果実を少しでも多く従業員に還元する。コロナ禍の今年、そうした視点で労使が真剣に話し合ってほしい。
雇用の維持に関しては、経営側は雇用調整助成金などを活用しながら最大限に努力している。成長に向けた議論がなくては、日本の産業界の将来展望が拓けない。
(2021/2/1 05:00)
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