産業春秋／ヒーローに英気与える

日本ではなじみが薄いが米国のスポーツでダントツの人気を誇るのがアメリカンフットボール。その頂点となるナショナルフットボールリーグ（ＮＦＬ）の王座決定戦「スーパーボウル（ＳＢ）」が７日（日本時間８日）、フロリダ州で開かれる。

開催地に６００億円規模の経済効果をもたらすとされる祭典。試合日に向けて全米各地、世界中から人が集まり事前イベントなどを楽しみながら本番を待つのが例年のパターンだった。

新型コロナウイルス感染症の影響で今季は全試合無観客を決断したチームもあった。今回のＳＢは６万５０００人の収容が可能な会場に観客１万４５００人を入れる。さらに全３２球団が新型コロナのワクチン接種済みの医療従事者計７５００人を無料招待する。

人種差別、貧富の格差など米社会の分断は大統領が変わっても深刻さは変わらない。それでも各自が抱える背景を抜きにしてベクトルがひとつになる瞬間が、ひいきチームの応援だ。

もうひとつ一体感が必要なのは自らの命を危険にさらして他者に奉仕する医療従事者への感謝と敬意。全米から集う“アメリカンヒーロー”の医療従事者にとって生観戦が英気を養う時間になってほしい。