(2021/2/11 05:00)
製造業を中心に企業業績の回復が顕著だ。世界がアフターコロナに向け大きく動きだすなか、成長の機会を取り逃がさない経営の意思決定の迅速さが求められている。
トヨタ自動車は2021年3月期の連結業績見通し(国際会計基準)を上方修正した。当期利益は1兆9000億円と前年度の2兆円に近づくレベルを見通す。要因として、中国市場の販売好調や、米国や日本市場の回復をあげた。
ホンダも同3月期の当期利益見通しを上方修正し、日産自動車は赤字幅を従来予想から縮小するが、同業種でも回復度合いにはばらつきが生じている。
中国が成長路線に戻り、欧米も政府の大規模な経済対策が寄与して需要の回復傾向が見られる。景気けん引効果の大きい自動車産業の回復が、自動車部品、鉄鋼・化学などの素材関連にも好影響を及ぼしている。
半導体や電子部品は新型コロナウイルス感染拡大のなかでデジタル関連向けに需要が急増。特に半導体は急回復した自動車関連需要への供給が手薄になるほどの逼迫(ひっぱく)状態にある。自動車業界にとっては半導体の調達力が来期の成長を左右する重要な要因となる可能性もある。
欧米や中国でワクチン接種が順調に進めば、経済は一気に動きだす。世界経済の成長軌道に乗り遅れないよう、新たな成長戦略の練り直しが必要だ。
ルネサスエレクトロニクスが、英ダイアログ・セミコンダクターを6179億円で取得することで合意し、日本電産は三菱重工工作機械の買収を決めた。自社の足らざる要素を買収で補う手法は日本企業にも定着しつつある。
何に注力し、経営資源を投じるのか。成長の目指すべき方向はデジタル変革(DX)やカーボンニュートラルに沿ったものとなるのは明らかだ。
一方で懸念されるのは、外食、旅行、運輸などのサービス産業の出遅れ。アフターコロナ時代を見据えて事業構造そのものの見直しが不可避である。ここでも、経営者の変革への決断がカギを握っている。
(2021/2/11 05:00)
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