(2021/2/16 05:00)
大規模災害への備えに終わりはない。感染症と巨大地震や豪雨災害が同時に起きる「複合災害」を想定した対応も検討すべきだ。
福島県沖を震源とするマグニチュード7・3の地震が13日夜に発生した。気象庁は2011年3月11日の東日本大震災の余震と考えられるとし、「今後1週間、最大震度6強程度の地震に注意」と指摘した。東北沖での地震のリスクを注視したい。
東北新幹線は架線をつなぐ電柱が折れたり傾いたりしたため、全線運転再開まで10日前後を要する見込み。福島県相馬市の常磐自動車道で土砂崩れが発生し、一部区間で通行止めが続く。被災地支援の人や物資の搬送に万全を期す必要がある。
震度6強を観測した相馬市は「天井落下や水道管破裂の被害はあったが、東日本大震災後に工場設備の耐震性を強化したため生産へのダメージは軽微」と市の担当者。金属加工の大橋工業は「1週間以内に生産を再開できるのでは」とみる。
今回の地震では、東日本大震災の苦い経験から得た教訓が生かされた面も多い。どんな対応が被害の軽減に結びついたのかを検証し、今後の備えに役立ててもらいたい。
新型コロナウイルスの感染が続く中での避難行動では、避難所にテントを設置し、密を避ける新たな工夫もとられた。避難が長期化すれば感染リスクも高まる。衛生管理を徹底する施策を講じたい。
東日本大震災から10年。国民の関心は、今後30年以内の発生確率が70―80%とされる南海トラフ地震や首都直下地震に向いている。しかし、宮城県沖や青森県東方沖など、東北でも依然として震災リスクは存在する。
幸い今回の地震は、震源が深部だったため津波被害は発生しなかったが、浅部であれば高い津波になる可能性もあった。
さらに複合災害への備えも検討する必要がある。コロナ感染下で豪雨災害の季節に大規模地震が起こればどうなるのか。危機管理の基本は最悪の事態を想定することから始まるのを肝に銘じ、対応を考えたい。
(2021/2/16 05:00)
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