(2021/2/17 05:00)
株価は30年6カ月ぶりに3万円台を記録し、生産や輸出が改善するなど、コロナ禍の中で日本経済は持ち直しに向かっている。この先、本格的な景気回復の実現には、新型コロナ感染症対策に加え、大胆な構造改革が必要だ。
内閣府が発表した2020年10―12月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、個人消費と輸出をけん引役に年率換算で12・7%増と2四半期連続で増加した。
20年通年では前年比4・8%減と11年ぶりのマイナス成長となった。4―6月期に年率換算で29・2%減と過去最大の落ち込みとなった影響が大きい。政府の「GoToキャンペーン」などの景気浮揚策は一定のプラス効果を与えたが、コロナ感染を抑え込めなかったことが、本格回復を阻んだ。
21年1―3月期は、輸出が底堅く推移する可能性はあるが、年明け早々に11都府県に緊急事態宣言が再発出され、飲食店の時短営業や不要不急の外出自粛要請で個人消費が減少し、再びマイナス成長に戻る見込み。
21年のGDPを成長に転じさせるには、新型コロナの収束が何よりの課題である。きょうからコロナ対策の決め手と期待されるワクチン接種が医療従事者から始まる。16歳以上のすべての国民を対象にする前例のないミッション。多くの難問を乗り越え成功させたい。
経済の活性化にはコロナ対策に加えて大胆な構造改革が不可欠だ。製造業が回復基調にある一方、コロナ禍が直撃する外食や観光、運輸業界は業績がさらに悪化している。二極化を放置したままでは成長率の鈍化は避けられない。政府は雇用調整助成金の拡充、金融機関は資金繰り策の継続で雇用と事業を支えつつ、構造改革に取り組む企業への支援を充実してほしい。
企業はデジタル変革(DX)やカーボンニュートラル投資に力を入れるべきだ。同時に困難でも賃上げで社員の意欲を引き出してもらいたい。こうした構造改革は企業の生産性、収益性を向上させるだけでなく、景気全体の押し上げに直結する。
(2021/2/17 05:00)
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