産業春秋/タコツボ型文化の打破

(2021/2/26 05:00)

タコツボ漁は、タコがツボから「出られない」のではなく「出たがらない」と漁師から聞いたことがある。狭いツボの中の密着感に安心感を覚え、外に出るのを嫌がる。貝類から進化した名残ともいわれる。

日本は学術から組織のあり方まで、あらゆる分野がタコツボのように孤立し、ヨコの対話が成立しにくい―。政治学者の丸山眞男が60年前に『日本の思想』で説いたタコツボ型文化は今も存在する。

新型コロナウイルス対策で学術分野のタコツボ型が弱点として露呈している。社会や経済への影響を最小化するには多様な分野の知が連携し、革新的な技術基盤を創出する必要がある。それをタコツボ型が妨げている。

科学技術振興機構(JST)は、戦略的創造研究推進事業CRESTコロナ対策臨時特別プロジェクトを始動した。物理学、数学、工学、有機化学、情報科学、ウイルス学、ゲノム科学などの研究者が集まり異分野融合でコロナに立ち向かう。

研究総括で日本医療研究開発機構研究開発統括推進室長の岩本愛吉さんは「タコツボは壊した方がよい」と意気込む。各分野の研究者が専門性や個性を活かしながら、結束力を発揮できる「組みひも型」が目指す姿だ。

(2021/2/26 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

ゴム補強繊維の接着技術

ゴム補強繊維の接着技術

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン