産業春秋／さくらだより

お隣さんから「コロナで花見に行きにくいでしょう」と、開花寸前の桜の小枝をいただいた。その心遣いがうれしい。花瓶に生けて家族で花見を楽しんでいる。

新型コロナウイルス感染拡大から１年余がたち、多くのことを学んだ。近所の花見スポットは閑散とし、桜も人恋しいことだろう。宣言の有無にかかわらず、密を避ける暮らし方が定着してきていると感じる。

秋田県内の中小製造業が協働する「ものづくりＴｅａｍＡｋｉｔａ」が気を吐いている。フェースシールドや医療用ガウン、医療従事者を患者の飛沫（ひまつ）から守る折り畳み式カバーなどを共同で開発、製品化してきた。

秋田県がコロナ禍前から主催してきた「医療ニーズ発表会」が実を結んだ。医療機関から困り事を聞いて県内の製造業が課題解決にあたる。２０２１年度は市場創出のため、診療所や福祉施設、飲食店を対象に、モニター制を始める。

わが家の桜は、咲き出すそばから散り始めた。生けた桜は命の短さを惜しむようにあでやかに咲く。桜前線が秋田に北上するのは４月中旬という。コロナと闘う医療・介護現場や飲食店に、中小企業が創意工夫を凝らした貢献が届き、花開く日も遠くはなさそうだ。