(2021/4/6 05:00)
経営環境が激変する中で、取締役会や指名委員会は、最高経営責任者(CEO)に求められる役割や能力、実績に応じて適正な年限を柔軟に判断することが今まで以上に求められる。
企業のトップに誰が就くかということもさることながら、どのくらいの期間トップを続けるかも、企業存続に関わる重大な要素だ。デジタル技術の進展など経営を取り巻く環境変化のスピードが増す中で、長期にわたって変革をリードする優秀なトップもいれば、企業価値を損ねてしまうトップもいる。
CEOの在任年限はどうあるべきか。日本取締役協会がこのほどまとめたCEOガイドラインがこの問題を扱っている。ガイドラインは、まず「CEOの在任年限は、その任務・役割を果たすのに必要な期間を確保するものでなければならない」とした。
取締役会が決定する基本戦略の実現には、具体的な経営計画をまとめて実行するのがCEOの役割であり、少なくとも「中期の期間(おおむね4―6年)」は在任すべきだという。
取締役会は「単にその長短によるのではなく、CEOによる経営戦略、計画の達成度、寄与度などを総合的に勘案した上で決定しなければならない」とした。中期という一定の目安を示しつつ、期限には縛られず、総合的な見地に立つのは妥当なアプローチだ。
任期途中で環境変化に対応できなくなる場合もあろう。「取締役会はCEOがその任務・役割を果たす見込みがないと判断した時は、その時点で解任、あるいは当該年度限りで不再任とすべきだ」とガイドラインが指摘するように、中長期的な企業価値向上を実現できないトップが、居座ってはならないのは当然だ。
富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO(81)が退任発表の会見で「私がやるべきことはほぼ成し遂げた。経営を担う人材も育てた」と述べた。長期政権の好事例だろう。CEOの任期は後継者育成とセットで考えるべきことであるのは言うまでもない。
(2021/4/6 05:00)
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