(2021/4/21 05:00)
残念ながら3度目の緊急事態宣言に踏み切らざるを得ない状況だ。大阪は医療崩壊の寸前にあり、民間医療機関の協力が不可欠となっている。産業界は人流の大幅抑制で、感染拡大防止に協力したい。
大阪府の吉村洋文知事は20日、新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、政府に緊急事態宣言発出を要請した。変異株の感染力は強く、まん延防止等重点措置による対応だけでは防ぎきれないと判断した。府は大型商業施設の休業も必要としている。兵庫県や東京都も宣言要請の検討を進めている。
政府は要請を受け、3度目の緊急事態宣言発出に向けた作業に着手する。休業要請には慎重な検討が必要だ。百貨店や大型専門店が休業すれば、経済への打撃は大きく、休業補償への財政支出も拡大する。
喫緊の問題は医療体制である。重症患者の受け入れ施設に、軽症・中等症患者が滞留している。目詰まりの解消には民間病院での軽・中等症患者の受け入れが重要になる。感染症法が改正され、知事は正当な理由なく要請に応じない病院に、勧告を行う権限が付与された。適切に行使も検討すべきだ。
ただ、患者を受け入れたくても感染症への対処スキルが乏しい実態がある。専門家の派遣や防護衣など資材の確保面で、国による支援の充実が欠かせない。感染数が少ない地域の医師や看護師が、感染地域に応援に入り、ノウハウを学ぶという対応も進めるべきだ。
企業ができる協力は、出勤者の数を極力減らし、人流を抑制させることだ。中小企業のテレワーク比率は、昨年春の宣言時と比べて減少している。業務内容を見直し、在宅勤務への切り替えを真剣に検討してもらいたい。来週から大型連休が始まる。その前後に休暇を集中させ、連続して休むことも一つの考え方だろう。
感染抑制の決め手となるワクチン接種も高齢者向けに5月から本格化する。あらゆる医療資源を活用して早期の接種態勢を整え、国民の命と暮らしを守ってもらいたい。
(2021/4/21 05:00)
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