(2021/4/23 05:00)
二酸化炭素(CO2)消火設備による死亡事故が相次いでいる。省庁連携により惨事を防ぐ総合的な対策が急がれる。
東京都新宿区のマンション地下駐車場で15日、消火設備から放出されたCO2が充満し、作業員4人が死亡した。
警視庁は作業員が消火設備を作動したまま、天井板を張り替えるため、センサーのカバーを外していたことが、誤放出につながった可能性があるとみている。工事の元請け・一次下請け業者を業務上過失致死傷容疑で家宅捜索した。
消火設備はCO2放出により酸素濃度を下げて火災を抑制する。水消火に比べ電気系統や機械などへの影響が少なく、電気室やIT室でも使われる。窒素系より導入費が安価なことも普及の要因となっている。
2020年12月には名古屋市のホテル地下駐車場でエレベーター改修中の作業員1人が、21年1月には東京都港区のビル地下駐車場で消火設備点検中の作業員2人が死亡している。
消火設備の改修工事は、消防署への着工届けや消防設備士の立ち会いなどが義務づけられている。消火設備付近で設備に影響を及ぼす可能性のある工事を行う場合も、専門家の立ち会いや事前の届け出を義務づけるべきではないか。
消防庁は厚生労働省や経済産業省などと連携し、有識者による検討会で事故原因を分析し、再発防止に向けた安全対策を検討する方針。
重層下請け構造の建設業界で、どうすれば工事の安全を確保できるか。またメーカーにより設備の元栓にあたる閉止弁の位置が異なることに「操作性向上のために統一が必要」(関係者)との指摘もある。産業界の声も聞き、実のある議論を期待する。
CO2設備を使わなくても済むところは、CO2より比較的リスクの低い窒素などを使った設備の普及を促したい。国が導入費用を補助したり、窒素系やハロゲン系の大規模消火設備を設置する際に必要な事前評価を簡素化したりするなど、制度面からの後押しが有効だろう。
(2021/4/23 05:00)
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