(2021/4/27 05:00)
「食い倒れのまち」と古くから称されてきた大阪。食の都の文化を守ってきた大阪の飲食業は、コロナ禍で危機にさらされている。今は感染力に強い飲食店を一店舗ずつ地道に築いていくしかない。商いのまちの底力が改めて問われている。
大阪は3月末以降、新型コロナウイルスの感染者数が一気に増え、25日から4都府県で発令された3回目の緊急事態宣言の流れを作ってしまった。特に変異株の猛威で重症者が増え、一般医療にも影響を及ぼす医療逼迫(ひっぱく)状態が続く。発令された短期決戦の強い措置で人の流れを大きく抑制し、感染拡大を抑えなければならない。
今回の緊急事態宣言が関西経済に与える影響を、日本総研は宣言期間中の17日間で1400億円程度、消費が減少すると試算する。関西の家計の消費支出は外食や旅行、娯楽サービスなど不急の財支出を中心に減ると分析。若林厚仁日本総研関西経済研究センター長は「宣言の延長は十分にありえ、1カ月間になれば影響額は2倍になる。ただオンラインの浸透もあり、1回目の昨春ほどの落ち込みにはならないのでは」とみる。
危惧されるのは飲食業界への影響だ。若林氏は「テレワーク普及でオフィス面積を縮小する会社が相次ぎ、ランチや仕事帰りに一杯の需要が減り、ソーシャルディスタンス意識の定着で客の収容率も下がっている」とする。飲食業界は厳しい状況が続くのは避けられない。
この1年、飲食店はコロナ対策に振り回されてきた。多くの店はアクリル板や消毒液の設置、換気の徹底やCO2センサーの設置など対策を強化している。テークアウトによる新商品・サービスも創出してきた。ただ出口の見えない今の状態が長引くほど、体力・気力を確実に失ってしまう。事業規模に応じた協力金の早期支給や、事業転換への支援策の充実を図る必要がある。
厳しい現実に悲観ばかりしていても始まらない。多くの大阪人が持つ“商魂”のたくましさを今こそ発揮し、知恵を絞り、この難局を乗り切ってほしい。
(2021/4/27 05:00)
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