(2021/4/29 05:00)
晩春の季語に「子猫」がある。暑からず寒からず、猫の出産や子育てには最適な時期といえる。季語には子猫への愛着が込められていそうだ。
野良猫対策に自治体が頭を痛めている。埼玉県の動物指導センターに収容される保護猫は年間約760匹に上る。半数以上が子猫だが、譲渡先がみつからず、約490匹が殺処分されている。
遺棄が後を絶たないことにも原因がある。コロナ禍で在宅時間が長くなり猫を買い始める家庭もあると聞く。「飼うなら最後まで責任を持って面倒を見てほしい」。センターの担当者はコロナ収束後に捨て猫が増えないか気にかける。
システム開発のファーレイ(東京都中央区)では8匹の猫がオフィスを闊歩(かっぽ)する。保護猫を引き取った社員には毎月猫手当が支給され、猫との同伴出勤を認めている。社員の会話が弾み、新卒採用では応募者の増加につながっているという。
販売される子猫や子犬へのマイクロチップ装着が来年6月から義務化され、遺棄の抑止効果が期待される。ただ猫は譲り受けるケースが多く効果は限られそう。飼い主が高齢になり保護される猫は後を絶たない。ある年齢になったら飼い主にならない選択も大事なマナーだ。
(2021/4/29 05:00)