(2021/5/3 05:00)
安価なサンダルを買おうとして気付いた。東京都心にほど近いわが家の周辺では、これが意外に難しい。高価なスポーツシューズやオーダーメードを扱う店はある。しかし“普通の靴屋”がない。
かつては片手で収まらない数の店があったが、一つ、またひとつと消えていった。いまや近隣の小中学校は、オシャレ靴の店に平凡な子ども用上履きの入荷を要請しているのだとか。
東京都心部は個人商店には生きづらい環境だ。わが町から八百屋や魚屋が消えて十数年。衣料や家具、金物や日用雑貨の店もなくなった。酒屋、書店、文房具店なども残りわずかだ。代わりにスーパーや100円均一ショップ、通信販売を利用するが、現物を見ないと買いにくいものもある。
地方都市の中心商店街で閉店が相次ぎ、シャッター通りと化してしまう悩みは、よく知られている。後継者のない商店が高齢化で消えていくのは都会も同じ。コロナ禍でそのスピードが加速しているように思う。
冒頭のサンダルは結局、区の商店会連合会のサイトを検索し、電車で数駅先にある個人商店に行って買い求めた。あの店は、いつまで営業してくれているだろう。“買い物難民”は大都会にも無縁ではない。
(2021/5/3 05:00)