(2021/5/4 05:00)
日本の建設機械メーカー各社が電動ショベルの開発や、異なる建機を通信でつなぐIoT(モノのインターネット)制御システムの取り組みを加速している。世界的な価格競争と一線を画し、国産建機の新たな強みとすべきだ。
電動ショベルは、作業中に二酸化炭素を排出しない。建機業界にも温室効果ガスの排出削減要請は強くなっており、電動建機の開発は、各社にとって喫緊の課題だ。排ガスを出さないため、地下街やビル、地下鉱山などの密閉空間の工事にも最適で、作業員の安全も向上する。騒音が小さいため、都心や夜間工事にも使いやすい。
環境対策に積極的な欧州をはじめ、米国もバイデン政権が環境保護政策を打ち出しており、関連市場は今後、急速な拡大が予想される。コマツは2020年から国内で電動ミニショベルのレンタルを開始、日立建機も国内と欧州で開発を進める。竹内製作所もミニショベルの投入計画を進める。
ただ現状では課題も多い。電動ショベルは既存の軽油を燃料とするディーゼルエンジン車と比べてコストが高い。充電時間が長く稼働時間が短い、パワー不足などの問題がある。
カギを握る蓄電池は、日本と並んで中国が先行している。今後の展開次第では電動ショベルも一般建機や自動車と同じように、低価格競争に巻き込まれる懸念もある。
切り札になるのがIoTを生かしたサービス、メンテナンスの充実だ。建機は売り切りではなく、建機を有効活用するさまざまなサービスを継続提供する。
稼働率を向上する運用プランや他建機との連携、リモート遠隔監視などで故障の発生率を減らし、人工知能(AI)やカメラを駆使した自動操縦で現場の生産性を上げていく。アームやバケットの位置、角度を最適に制御し、5日かかっていた作業を3日に短縮できれば、こちらもコストダウンになる。
電動化とIoTの両輪で付加価値を高め、新天地を開拓してほしい。
(2021/5/4 05:00)