(2021/5/13 05:00)
製造業を中心に企業業績の回復が顕著だ。ただ企業間格差も拡大している。コロナ後の世界を見据え、事業構造の改革を急がなければならない。
トヨタ自動車は12日、2022年3月期連結決算の営業利益が前期比13・8%増の2兆5000億円となる見通しを発表した。米国を筆頭に国内、中国、欧州など全市場で回復を見込む。電動車比率も29・2%に高める。
電子部品メーカーも日本電産、村田製作所、TDKの同3月期の営業利益が過去最高を更新する見通し。車の電動化需要の拡大が寄与する。
日本の基幹産業である自動車の回復は、部品、工作機械、ロボットなど、幅広い業種に恩恵をもたらす。コロナ禍で苦しむ産業がある中で製造業の回復は日本経済にとって心強い。
業績が好調な企業には共通点がある。グローバルに事業展開し、中国や米国市場の回復を取り込めることや、デジタル変革(DX)、カーボンニュートラルなどの世界的な潮流にいち早く対応していることだ。
一方で同業種でも企業間格差は生じている。日産自動車は同3月期の当期損益が600億円の赤字と3期連続の赤字を見込む。業績は回復傾向だが、米国市場の収益改善は途上にある。
半導体不足もリスクとして浮上しており、ここでも調達力の差が、今期の各社の業績に影響を及ぼすことになる。
日立製作所は同3月期の売上高が過去最高を更新する見通し。傘下の中核企業、日立金属を売却する一方で、米IT企業グローバルロジックを約1兆円で買収するなどポートフォリオ改革を加速する。パナソニックも米ソフト会社ブルーヨンダーを7600億円で完全子会社化する。トヨタ自動車もデジタル化への投資額を前期比2割増の1兆2000億円とする。
いずれもDXで、世界と戦う体制を整える布石だ。
世界はコロナ後に向けて動きだしている。DXやカーボンニュートラルは産業構造にも大きな変化をもたらす。いち早く適応できた企業が、成長への軌道を確かなものにできる。
(2021/5/13 05:00)
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