(2021/5/14 05:00)
人に優しいデジタル社会を形成する。発足の理念を実現するために、着実に前進してほしい。民間人材の活用がカギを握るだろう。
国のデジタル政策の司令塔の役割を果たす「デジタル庁」が9月1日に発足する。コロナ禍であらわになった日本のデジタル活用の遅れを取り戻し、国民があまねくデジタル化の利便を享受できるようにしていかなければならない。
取り組むべきテーマは膨大にある。まずは国民が便利さを実感できる行政手続きの使い勝手向上を進めてもらいたい。
現状では国と自治体がバラバラに行政システムを運用し、さらに自治体ごとの個人情報保護条例があり、がんじがらめの状態にある。これが2020年の国民に一人一律10万円の給付作業や、現在のワクチン接種においても、非効率を招いている。
政府は行政システムの一元化にクラウドサービスを採用する方針。機能の追加や変更が容易となり、ハードに依存しないため、柔軟で効率的な運用が可能になる。ただ、各自治体の既存システムに格納された膨大なデータをどう移行させていくのかなど、実現には高いハードルが待ち受ける。
マイナンバーカードの普及も課題である。現在の普及率は28・3%に留まっている。役所に出向かずに行政サービスが利用できるなどの便利さを具体的に示していくことが、普及率向上につながる。
行政手続きのデジタル化は当面の課題に過ぎない。真のデジタル社会の実現には、国民一人ひとりのデジタル化されたデータを有効活用し、政策立案に役立てることが重要となる。
デジタル政策のグランドデザインを描く人材が重要だ。政府はデジタル庁発足にあわせて民間から120人を採用するとともに、担当大臣の下に「デジタル監」職を設け、民間から登用する。大胆な発想とともに、デジタル弱者に配慮する包摂の心を持つ人材が求められる。
官民の英知を集結し、国民が有益と実感できるデジタル社会の実現につなげてもらいたい。
(2021/5/14 05:00)
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