(2021/6/1 05:00)
9都道府県への緊急事態宣言がきょう延長期間に入った。当初から6月20日を期限とする沖縄県を含め10都道府県への宣言が続く。宣言の長期化で厳しい経営を余儀なくされる事業者、中小企業にはこれまで以上に、迅速かつ、切れ目のない支援策が欠かせない。
東京や大阪では新型コロナウイルスの新規感染者が減少しつつあるものの依然として高い水準にある。感染力の強い英国型の変異株にほぼ置き換わったことを踏まえれば延長はやむを得ない。
政府は今回の宣言延長に伴って政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の期限を6月末から12月末まで延長するほか、6月末が期限の雇用調整助成金の特例措置を7月も継続する。経営体力の乏しい事業者や中小にさらなる負担を強いるのであれば当然の措置である。
すでに独自の追加支援を打ち出している自治体もある。都は国の「月次支援金」に上乗せする給付金の支給を決めている。国の制度では支援を受けられない売上高減少率の事業者も対象とし、広く資金繰りを支える。
懸念されるのは自治体の財力やマンパワーが今後の支援格差につながらないかという点だ。盤石な財政基盤を誇ってきた都でさえ、累計で4兆円を超える対策費を投じた結果、目下、厳しい財政状況にある。休業や時短営業に応じた飲食店への協力金を巡っても自治体の支給状況にばらつきがみられる。資金繰りの悪化で、要請に応じられない店が増える事態となれば対策の実効性をも左右する。
ワクチン接種の加速が最大の対策になる。高齢者への接種を早期に実施するのと同時に、65歳未満への接種を急ぐべきだ。東京都墨田区は1日から接種対象の全区民への接種券送付を始め、7月には40―59歳への接種を始める。自衛隊による集団接種も高齢者向けにめどが立てば、対象年齢をさらに広げていくべきだろう。
感染拡大でしわ寄せを受ける中小企業の経営はギリギリの局面にある。あらゆる施策を動員し収束への道筋を示すべきだ。
(2021/6/1 05:00)
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