(2021/6/4 05:00)
社会の変革をリードするには、産業界自身が新たな姿を示さなければならない。
経団連第15代会長に住友化学会長の十倉雅和氏が就任した。中西宏明前会長(日立製作所相談役)の病気退陣に伴う異例の緊急登板である。日本経済はコロナ禍に苦しみ、国民生活も圧迫されている。産業界のリーダーへの期待は大きい。
「社会や国民に広く支持される経団連を目指す」と、十倉会長は表明した。支持の基盤となるのは、耳に心地よい言葉を紡ぐことではない。時には厳しく政府に意見し、また産業界が自らイノベーションによって国際競争力を高めていくことが必要になる。
当面の課題として「デジタル」と「グリーン」に取り組むという姿勢は正しい。中でも地球温暖化対策としての二酸化炭素(CO2)排出量の削減は、産業界にとって大きな試練だ。電力、鉄鋼とともにCO2を大量に排出する化学業界出身の会長として、この問題に正面から取り組み、成長に結びつける道を見いだしてほしい。
中西前会長は、原子力発電所の新増設を含む大胆な提言で政府方針の転換を求めた。十倉経団連も、こうした意気込みを見習うべきだ。
「デジタル」に関しては、初の女性副会長として起用された南場智子ディー・エヌ・エー会長に期待したい。IT業界出身、唯一の50歳代で、経団連の新風を象徴する存在になろう。十倉会長を助け、より効率的で産業の発展に資するデジタル化のあり方を、政府に働きかけてもらいたい。
世界経済は、ますます“GAFA”に代表される特定のグローバルプラットフォーマーに利益が集中している。一方で米中摩擦のように国際協調関係も激変している。
経団連が、財閥系の“古い企業”の互助会のような誤った評価をされるようなことはあってはならない。国民が未来に期待を持てる国となるために、産業界から何を発信し、どう取り組んでいくのか。十倉会長自ら変革の先頭に立ってほしい。
(2021/6/4 05:00)
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