(2021/6/8 05:00)
まずは経営トップが十分理解して自ら主導し、方向性を示さねば浸透はおぼつかない。
D&Iを推進しようという動きが強まっている。D(ダイバーシティー、多様性)とI(インクルージョン、包括・包摂)を組み合わせた概念だ。性別や言語、年齢や出身地などで区別することなく、多様性を認めるのがダイバーシティー。そして個々の構成員が違いを生かし、力を発揮できる環境を整備するのがインクルージョンだ。
経団連は2020年10月に「ポストコロナ時代を見据えたD&I推進」に関するアンケート結果を発表した。ポストコロナ時代の新しい事業環境に対応するため、D&I推進が重要、とする企業が96%に達した半面、そのうちの約4割が「急を要していない」と回答した。成果が上がるまでに時間がかかること、業績への影響を測りにくいことが背景にある。
そんな中、関西経済連合会がD&Iガイドラインの第1弾として「企業で活躍したい女性編」を発表した。ガイドラインの作成は関経連として初の試み。アンケートやヒアリングなどを重ね、女性活躍を推進するには「制度の整備」と「現場の実情に応じて制度の運用上の工夫を凝らす」ことの必要性を課題として掲げた。
興味深いのは、管理職と女性部下との間で、育成に関するズレがかなりあることだ。管理職は、キャリア形成への期待を部下に伝えたり、家庭と仕事の両立への配慮について、8割以上が実践していると考え、女性部下は3―6割しか実践されていると感じていない。
経営トップは女性の活用を進めよと号令をかけても、現場にまで浸透していない。どういう制度や取り組みが必要なのかのすりあわせが本当の意味でできていないことが背景にある。
D&I推進は変化への対応力向上に寄与する。経団連のアンケートでもD&Iに取り組んでいた企業ほど、コロナ禍でも柔軟な働き方ができたという。経営層はかけ声だけでなく、D&Iが自社に浸透するコミットメントを発信していくべきだ。
(2021/6/8 05:00)
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