(2021/6/9 05:00)
プラスチックの廃棄削減を求める「プラスチック資源循環促進法」が今国会で成立、2022年度に施行される。企業は規制強化ではなく、ビジネスチャンスと受け止めてほしい。
現行のリサイクル法は、家電や容器包装など分野ごとに制定されている。新法はプラスチックという素材で対象をくくっており、プラスチック製品を製造や利用、販売する全業種に対応を求める。
話題となっているのが、使い捨てプラスチックの削減義務。詳細は政省令で決めるが、コンビニや飲食店で配るプラスチック製のスプーンやフォークが対象となる見込み。有料化や代替品などの対応をとらない事業者には国が改善命令を出す。またプラスチックを大量廃棄する企業にも国が指導する。
メーカーや小売り業者に使用済み製品の自主回収を認める点も、新法の目玉だ。現状は廃棄物処理法の許可がないと回収できず、メーカーはリサイクル事業者経由でプラスチック再生材を購入している。自主回収が可能になると良質な再生材を入手しやすくなり、製品への利用率を増やせる。
すでに飲料メーカーが再生材の調達に力を入れている。サントリー食品インターナショナルは、兵庫県内の2市2町と協定を結び、使用済みペットボトルの回収体制を整えた。自社工場に再生ボトルを確実に届け、リサイクル率を高める。日本コカ・コーラはセブン&アイ・ホールディングスと組み、店舗で集めた使用済みボトルを再生している。
新法施行後、大手メーカーによる使用済み製品の争奪戦が起きそうだ。メーカーによる有力リサイクル業者の囲い込みや買収に発展する可能性もある。
法施行の意義は、資源の有効活用を通じて企業のビジネスモデルを変革させることにある。消費者もこうした意識を持つ企業を評価し、購買する時代へと変化している。規制と捉えるだけでは資源循環の新たな潮流に乗り遅れる。プラスチックを扱う企業は自社の経営戦略と位置付け取り組むべきだ。
(2021/6/9 05:00)
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