(2021/7/2 05:00)
コロナ禍にあっても事業変革に取り組む企業の意欲は高まっている。政府はポストコロナを見据えた成長戦略で、企業を強力に後押しすべきだ。
日銀が1日に発表した6月の短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIは14となり、3月の前回調査から9ポイントと大幅改善した。ワクチン接種が進む欧米各国向けの輸出拡大で生産が増加したことが主因。汎用機械が22ポイント、生産用機械が18ポイント上昇した。一方で、半導体の調達難で自動車が7ポイント低下と明暗を分けた。
大企業非製造業も製造業と同様、4四半期連続で改善したものの、改善幅は2ポイントと小幅にとどまった。テレワークの普及で情報通信サービスは堅調だが、度重なる緊急事態宣言の発令で飲食、宿泊など各種サービス業の伸びは鈍く、製造業と非製造業で景況感の格差は広がった。
中小企業は製造業、非製造業とも改善はしているものの、依然としてマイナス圏にあり、大企業との格差は拡大している。
先行きは大企業製造業が1ポイントの悪化、大企業非製造業が2ポイントの改善といずれも横ばい圏の予想。変異株の再流行でコロナ収束が見通せないことや、世界的な原材料価格高騰への不安感が拭えないためだ。大企業製造業の景況感が海外経済頼りというのも心もとない。
明るい材料は、設備投資への前向きな姿勢だ。21年度の設備投資計画は全規模・全産業で前年度比7・1%増。中でも製造業は同11・5%増の高水準を見込む。低調だった前年度計画の反動もあるが、デジタル変革(DX)、脱炭素といった課題に取り組む意欲を感じる。
政府も成長戦略実行計画の中で、DXや脱炭素による成長戦略の強化や労働生産性向上の必要性を指摘した。
コロナ禍で収益減少に苦しむ飲食、宿泊業などが取り組む事業再構築への支援を強化すべきだ。同時に、成長分野に人材が円滑に移動できるよう教育制度を充実し、産業全体の賃金上昇へとつなげたい。回復が遅れる中小企業を支援し、景況感の格差解消に努めてほしい。
(2021/7/2 05:00)
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