(2021/7/9 05:00)
事業存亡の機が迫る飲食店や関連産業に追い打ちをかける事態である。努力の先に光明が見いだせる対策を講じなければならない。
政府は8日、東京都に4度目の緊急事態宣言を発令した。沖縄県への発令も継続し、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県は重点措置を継続する。期間は12日から8月22日まで。
感染力が極めて強いインド由来のデルタ株感染者が急増している。今後の爆発的感染と重症者の病床逼迫(ひっぱく)を未然に防止するための決定である。
政府は東京都、沖縄県の飲食店に、20時までの時短営業と酒類の提供自粛を求める。やむを得ない状況ではあるが、度重なる要請に翻弄(ほんろう)される飲食店などの事業者にとっては死活問題だ。現状でも時短営業措置がとられているが、繁華街の店の中には、感染対策を講じないまま20時以降も営業し、酒類を提供するところが増えている。真面目に要請を守っている店にとってはやりきれない。
政府は6月の重点措置への移行に際して、第三者認証制度の普及を提示したが、都心では進んでいない。アクリル板の設置や換気設備の導入など設備面に加え、来店者数の制限など感染対策を守って営業する店については、営業時間の柔軟化や酒類の提供を認めるなど、認証制度を活用したインセンティブの仕組みを導入すべきだ。同時に協力金の給付も迅速に実施する必要がある。
政府の失策から、スマートフォンの接触確認アプリ「COCOA」の活用は進んでいないが、IT技術による感染対策を改めて考えるべきだ。入店情報をアプリで管理すれば、万一クラスターが発生した際も迅速な対応がとれる。
政府が漫然とした対応に終始したままでは、日本の外食文化は衰退する一方だ。感染対策に努力する事業者が報われる仕組みとなるようメリハリがあり、事業者が納得する施策を講じる必要がある。感染収束と企業の事業存続を成り立たせるには、政府による強いメッセージと具体策が欠かせない。
(2021/7/9 05:00)
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