(2021/11/10 05:00)
経済活動の活性化を後押しするには、メリハリの効いた感染症対策が必要だ。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、医療の逼迫(ひっぱく)を基準とする新たな警戒レベルの分類方法を決めた。10月末にはワクチン接種証明書保持者に対する入国・帰国時の待機期間短縮を決めている。いずれもワクチン接種が進み、感染者が急減した現状を踏まえた見直しだ。産業界が待望する経済の活性化にも合致する。
コロナ感染者数の増加は、必ずしも重症者や死者数の増加割合と一致しない。また致死性の高い感染症を隔離するのとは違い、コロナが今後も社会生活と共存していかなければならない感染症であることは、国民の各層に理解されている。
感染者数を指標に、外出自粛や時短営業など、社会活動に厳しい制約を課す規制を長期間継続するのは無理がある。かといって病院や医療スタッフを短期間に増やすのも難しい。医療体制の逼迫(ひっぱく)時に、地域ごとに“強い対策”を講じる政府の新たな方針は、完全ではなくとも現実的な対応といえる。
むろん欧州で新たな感染拡大が起きているように、コロナの先行きは見通せない。政府分科会の尾身茂会長は「新規の感染者数は引き続き注視する」と警戒を続ける考えを強調。また数週間後の感染者数の予測ツールを使い「先手を打って必要な対策を講じる」(尾身会長)という考え方を示した。
産業界では、経団連が「科学的知見に基づく社会経済活動の活性化に向けた政策」として経済振興策の早期展開を提言。入国でもワクチン接種者の待機期間を不要とするなどの緩和を求めている。社会的規制が強いほど経済再生は遅れ、国際競争力も劣後する。企業としては当然の要望だ。
政府は次の経済対策で振興策を加速する一方、もし感染拡大が認められたら早期に引き締めを図る両にらみの体制が求められる。確かに難しいかじ取りだろう。しかし規制一辺倒ではない新たな対策を、国民も産業界も望んでいる。
(2021/11/10 05:00)
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