(2021/12/22 05:00)
行政サービスのデジタル化にとって、マイナンバーカードの活用は欠かせない。政府は「2022年度中にマイナンバーカードをほぼすべての国民に行き渡らせる」と意気込むが、普及拡大に向けて、いま一度「なぜ必要なのか」を明確化し、国民全体の合意を得るべきだ。
マイナンバーカードはオンラインの行政手続きなどで本人確認として利用するICカード。同カードによる公的個人認証と行政サービスがシームレスに連携すれば、例えば自治体などで、人手をかけて個別に行っているデータ入力やチェックを自動化し、効率化できる。カード現物ではなくスマートフォンに格納するアプリケーションにすれば利便性はさらに高まる。
少子高齢化とともに働き手が激減していく日本社会において、人手に依存した行政サービスは限界があり、特に地方はサービス水準を将来にわたって維持するのは難しい。人手不足に対して「今のうちからデジタル化を進めておかないと、10年後では手遅れになってしまう」(ITベンダー)との指摘もある。
岸田文雄首相が掲げる「デジタル田園都市国家構想」でも、地方の過疎化や高齢化などの解決策として「地方からデジタル化の実装を進める」としており、対応は待ったなしだ。
マイナンバーカードの交付枚数は1年前の20年12月時点が全人口比23・1%。コロナ禍で「eタックス」などの利用が増える中、この1年間で普及率は同39・5%に上昇、交付枚数は5000万枚を超えた。
普及拡大で原動力となったのは、マイナンバーカードの初取得などにポイントを付与する特典制度「マイナポイント」。これに乗じて、政府は第2弾として「マイナポイント2」を22年1月から始める。銀行口座との紐付けや健康保険証としての利用にもポイントを付与する。
今後は運転免許証との一体化やワクチン接種証明の利用なども予定する。特典を喧伝するのもよいが、マイナンバーカードの保有が日本社会が直面する将来課題の解決にもつながることを丁寧に説明してほしい。
(2021/12/22 05:00)
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