(2022/6/23 05:00)
財務諸表に表れていない「非財務」の情報開示を拡充し、株式市場や労働市場から選ばれる企業を目指したい。
政府は「人への投資」といった非財務情報の開示を促すため、7月中に開示内容や目標設定などのガイドライン(指針)を公表する。一部は2023年度にも有価証券報告書への記載が義務付けられるため、企業の積極的な取り組みが期待される。
株式市場は決算期の利益などの金融資本から、人的資本などの非財務指標へと視線を移しつつある。短期の利益よりも、激化する競争を勝ち抜く潜在的な成長力が問われることになる。成長を担う人材を人件費といったコストではなく、新しい価値を生み出す資本と捉え、その価値を最大化するための人材投資を積極的に行っているかを市場が評価する時代を迎える。
20年に人的資本の情報開示を義務化した米国市場では、知的財産を含む無形資産を評価する一方、日本市場は有形資産に評価が偏っていた。日本も非財務情報の開示を強化することで、株主や取引先、地域社会などの利害関係者との意思疎通を円滑にし、自社の企業価値を理解してもらう必要がある。
非財務情報のガイドラインは、数値化できる情報と各社の独自情報に分類した内容などが想定される。男女の賃金格差や男性社員の育休取得率、管理職に占める女性の比率、スキル向上のための研修体制、福利厚生、新規雇用数などは数値化できる情報で開示を促し、各社が独自に作成した人材育成方針や社内環境整備の情報についても積極的な開示を求める方針だ。
数値化できる項目の一部は開示を義務化されるため、人的資本の価値を高めるための事業戦略について、説得力のある対応を今から講じておきたい。
労働人口の減少が避けられない中、人材投資を生産性向上や技術革新、価値創造につなげなければ株式市場からも労働市場からも評価されにくくなる。企業は非財務の情報開示に積極的に取り組むことで、デジタル人材の育成や女性活躍などの課題と向き合う好機にしたい。
(2022/6/23 05:00)
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