(2022/8/10 05:00)
ESG(環境・社会・企業統治)の取り組みは社会的使命にとどまらず、時価総額の拡大など企業価値向上に結びつく。社内に蓄積された多様な情報を統合・可視化することで、ESG施策がもたらす効果や影響度を数値データとして把握し、経営に生かすことが必要だ。
企業にとって、ESGへの取り組みは避けて通れない。欧州などでは経営戦略の中心にESGを位置付ける動きがあり「財務的な成果が出始めている」(アクセンチュア)という。
だが、ESGの守備範囲は地球環境から従業員の働き方まで幅広く、また、その多くが非財務指標による評価が中心であり、何を優先すべきかが分かりにくい。日本でもESG投資額は急伸しているが、企業価値向上とESG施策が明確には結びついていないのが実情だ。
環境・社会・企業統治のうち社会(ソーシャル)は人的資本という視点でも注目度が高く、働く意欲や愛着を表す「従業員エンゲージメント」や自社商品への信頼や愛着度を示す「顧客NPS(ネット・プロモーター・スコア)」などを重視する企業が増えている。ただ、評価基準は個社ごとに異なり、産業全体を横串では評価できない。
ESGの取り組みを加速するために必要なのはデータによる成果の裏付けだ。企業のESGの取り組みが企業価値にもたらす影響度を数値などで評価できれば、データ分析で得た結果から事業計画を立案する「データドリブン(駆動型)経営」として、ESG施策を実行できる。
日本企業全体を対象に、アクセンチュアが行った調査が興味深い。人工知能(AI)を用いて、ESGと企業価値の因果関係を明らかにした上で「財務・非財務指標の推移が企業価値に及ぼす影響度」を産業全体について横串で比較したもの。これによると、女性役員比率がトップで2位の営業利益を上回り、トップ10のうち六つが人事や働き方など多様性の施策だった。
こうしたデータの裏付けを企業ごとに積み上げることで、日本企業全体のESG投資を押し上げることが必要だ。
(2022/8/10 05:00)
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