(2022/10/12 05:00)
政府・自治体による観光需要の喚起策が11日から始まった。日本への入国を制限する“水際対策”を大幅に緩和し、国内旅行を促す全国旅行支援(東京都は20日から)も同時にスタートした。観光産業はコロナ禍で大打撃を受けただけに、これを機に収益の改善を進めたい。政府は2020年度末で終わった「観光立国推進基本計画」の改定の議論に着手し、ウィズコロナを勘案した新たな観光立国への道筋を示してもらいたい。
水際対策が緩和され、入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、短期滞在でのビザ(査証)免除などが講じられた。水際対策の緩和が先進7カ国(G7)並みとなり、円安も追い風にインバウンド需要を取り込みたい。また全国旅行支援の実施により1人1泊最大1万1000円の補助を受けられる。国内旅行を喚起する効果にも期待したい。
コロナ禍前の19年は3188万人のインバウンド(訪日外国人)、4・8兆円のインバウンド消費を計上し、政府はインバウンドを地方創生の切り札と位置付けていた。岸田文雄首相はコロナ禍前を上回る年5兆円のインバウンド消費を目標に掲げる。この目標をいかに達成するのか、円安による「安い日本」のアピールだけでは心もとない。コロナ禍の影響で先送りしていた「観光立国推進基本計画」の改定に動き、新たな目標と具体策を打ち出す必要がある。
経団連が改定に向けた提言を1月に示している。地域の関係者が組織する「観光地域づくり法人(DMO)」を司令塔に、地域独自の観光経営を自ら推進する「自律的観光」、研修旅行や国際会議、展示会などを提案する「新しい型の観光」、地域文化と環境保全を重視し地域負担を減らす「持続可能な観光」の方向性を示した。このほか生産性向上に向けた官民によるデータ基盤の整備や、デジタル化による業務効率化の必要性も提言している。参考にしたい。
“第8波”とインフルエンザの同時流行などの懸念も残る。両ワクチンの接種やコロナ下でのマナー順守など、医療が逼迫(ひっぱく)しないよう心がけたい。
(2022/10/12 05:00)
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