(2022/11/22 05:00)
岸田文雄政権が正念場を迎えている。この1カ月間で3人の閣僚が辞任する異例の事態となり、政権には大打撃となる。年末に向けて2022年度第2次補正予算案の審議や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた新法の策定など課題が山積する。23年度予算編成の作業も控える。辞任した閣僚の説明責任が問われる一方、これら重要政策を実効性ある内容に確実にまとめることが岸田政権には求められる。
岸田首相は20日、寺田稔総務相を事実上更迭した。政治資金を管理する職にありながら、後援会の政治資金収支報告書への不適切な記載などが表面化していた。第2次補正予算案の審議など国会運営に支障を来しかねないとの判断からだ。旧統一教会との関係が問われた山際大志郎前経済再生相、法相の職務を不適切に発言した葉梨康弘前法相に続く閣僚の更迭になる。更迭が後手に回ったこともあり、岸田首相の求心力と内閣支持率の一段の低下が懸念される。
今国会の会期末が12月10日に迫る。岸田首相は任命責任の重さを肝に銘じつつ、喫緊の課題である重要政策の策定・成立に全力を尽くしてもらいたい。政府は21日、物価高や賃上げ対策などを盛り込んだ22年度第2次補正予算案を国会に提出した。総務相辞任に伴う国会審議の遅れが懸念されるが、岸田政権は会期延長も視野に今臨時国会で同予算を成立させ、機動的な執行で景気を下支えしてほしい。
旧統一教会の被害者救済法案は実効性を疑問視する声も聞かれる。政府案によると、マインドコントロールされた状態で行った寄付を取り消す規定は設けられず、寄付の上限も設定されていない。借金や住居の売却を伴わない寄付は救済法案の対象外となっている。超党派で建設的な審議を重ね、被害者救済の実効性を高めてもらいたい。
3閣僚の辞任劇はいずれも岸田首相の判断が後手に回り、遅きに失した感は否めない。物価高・賃上げ対策や旧統一教会の被害者救済など喫緊の重要政策もまた、成立・執行が遅れるようなことがあってはならない。
(2022/11/22 05:00)
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