社説/ウクライナ侵攻1年(1)西側 “支援疲れ” 排し結束さらに

(2023/2/22 05:00)

ロシアがウクライナに侵攻して24日で1年になる。短期間でのウクライナ掌握というプーチン大統領の侵略計画は失敗し、戦闘は長期化の様相を呈している。バイデン米大統領が20日、ウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。21日のプーチン大統領による年次教書演説に先立ち、ウクライナ支援と西側諸国の結束強化を世界に示した意義は大きい。ロシア軍が数週間後にウクライナ東部掌握へ大規模攻撃に出る可能性がある。西側諸国はウクライナへの“支援疲れ”を排し、ロシア制裁をさらに強めたい。

ウクライナの猛反撃と西側諸国のウクライナ支援がロシアを疲弊させている。この1年にプーチン大統領が講じた一方的なウクライナ4州の併合宣言や部分的動員令は、ロシアの窮余の一策に過ぎない。英国防省によると、ロシアの1年間の死傷者は最大20万人に達する。訓練不足の兵士も戦地に送り込み、ロシア社会は動員兵問題が大きな負担になっている。ロシア国民にとっても不幸な戦争である。

北大西洋条約機構(NATO)の勢力拡大を阻止したいプーチン大統領がむしろ勢力拡大を促したのも皮肉だ。中立だったフィンランドとスウェーデンがNATO加盟を申請。フィンランドはロシアと約1300キロメートルの国境を接し、ロシアはNATOとの緩衝地帯を失う。対米共闘でロシアと結束する中国も、ロシアの核兵器使用には距離を置く。中国が最悪の事態を回避する抑止になると期待したい。

米欧は想定されるロシアの大規模攻撃に備え、反撃能力が高い戦車のウクライナへの供与を決め、フランスは戦闘機の供与を視野に入れる。バイデン米大統領が今回のウクライナ訪問で追加支援を表明し、“ねじれ議会”にくすぶる支援削減論をけん制したことも評価したい。

ウクライナ情勢を受けて世界経済は大きく減速した。戦争が長期化する中、西側諸国によるウクライナへの“支援疲れ”が懸念される。先進7カ国(G7)は24日に開くオンライン首脳会議で、結束の一段の強化をあらためて世界に訴えたい。

(2023/2/22 05:00)

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