(2023/3/15 05:00)
米国の中堅銀行2行が経営破綻した。米金融当局は両行の預金を全額保護するほか、預金流出の恐れがある銀行への緊急融資枠も設定した。異例の対応ながら、これ以上の連鎖倒産を防止する迅速な措置と評価したい。2行の経営破綻は、米連邦準備制度理事会(FRB)によるインフレ退治の金融引き締めが背景にある。米FRBは21日から始まる会合で利上げペースの再加速を示唆していたが、金融システム不安に配慮して再加速を見送るかを注視したい。
テック企業との取引が多いシリコンバレーバンク(SVB)が10日、暗号資産(仮想通貨)関連企業の顧客が多いシグネチャー・バンクが12日に経営破綻した。銀行の経営破綻としては順に史上2番目、3番目の規模。SVBはリーマン・ショック後で最大の経営破綻だった。
SVBはコロナ禍での金融緩和下、テック企業が調達した多額の資金を預かり、融資よりも債券運用に資金を振り向けていた。だが歴史的なインフレを抑制する米FRBの利上げがテック企業の業績を悪化させ、SVBが保有する債券価格の下落(含み損拡大)も招いた。金融政策の転換に翻弄(ほんろう)された形だ。
SVBの経営不安から9日だけで5兆円超の預金が流出し、取り付け騒ぎに発展した。米金融当局は保護する預金の上限(1口座25万ドル)を撤廃し、預金流出の恐れがある銀行に米国債などを担保に緊急融資する対策を講じた。バイデン米大統領も破綻防止に向けて銀行への規制強化を求めており、信用不安は収束していくと期待したい。
米FRBのパウエル議長は、次回会合で政策金利の利上げ幅を拡大することを示唆し、市場は上げ幅を0・5%(前回会合は0・25%)と予測していた。だが信用不安の拡大回避へ0・25%を維持するとの見方が有力視されてきた。銀行と景気に配慮しつつインフレを抑える難しい政策運営を迫られる。
日銀は異次元緩和の副作用を検証しつつ、金融正常化後に銀行や日本経済に及ぼす影響も今から確認しておき、金融システムの安定化を確保したい。
(2023/3/15 05:00)
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