(2023/10/30 12:00)
創業以来、部品生産を手がけてきた豊電子工業が自動化システムに参入したのが1980年。以来、自動車産業を中心に生産ラインの自動化に取り組んできた。納入実績は自動車部品メーカーにとどまらずトヨタ自動車、日産自動車などのアセンブリー(組み立て)メーカーに及ぶ。「ロボットシステムで次世代のモノづくりに貢献したい」(盛田高史社長)。40年にわたって蓄積したノウハウが成長産業へ展開されようとしている。
「自動車産業が大きな転機を迎えている中、我々ができることを模索した」(同)として、同社が提案したのが複数の部品を一体鋳造する「メガキャスト」用の自動注湯システムだ。メガキャストは電気自動車(EV)大手の米テスラが採用して以来、欧米を中心に普及。国内ではトヨタが導入を検討し始めた。
国内自動車メーカー、部品メーカーがメガキャストに移行することをにらみ、このほどアルミニウム溶湯重量100キロ―150キログラムの搬送が可能なシステムを開発。自動車業界への供給体制を整えた。
EVのさらなる普及を見据えた動きでは、車載用リチウムイオン電池(LiB)向けに気密性能を調べるリーク(漏れ)検査装置にも注力する。年内には愛知県刈谷市に新工場を稼働する。
「自動車業界で得たノウハウで今後は航空機業界の自動化に挑戦する」(同)。同社の肝いりプロジェクトが今秋、本格化した。ロボットメーカーなどと協業し、航空機の胴体部分などの自動組み立てにめどを付けた。
航空機の組み立てを自動化するには通常、工場建設時から専用ラインを構築する。同社は「既存工場でも活用できるよう汎用性を持たせたのが特徴」(開発担当者)。ロボットや搬送システムを駆使し、胴体パネルを一体化するシステムだ。すでに航空機関連メーカーから試験用として受注。「航空機産業はグローバル展開している当社の強みを発揮できる分野」(盛田社長)として今後は航空機メーカーへのシステムの提案をもくろむ。
新規分野でもメンテナンスを含めた「ロボットシステムインテグレーターのリーディング企業」の看板に磨きをかける。
(2023/10/30 12:00)
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