社説/能登地震発生から1カ月(上)停電解消も「復旧」長期化に懸念

(2024/1/31 05:00)

能登半島地震の発生から2月1日で1カ月になる。月内に停電がほぼ解消されるものの、水道の仮復旧は早くて2月末になる。ホテル・旅館など宿泊施設への2次避難も避難生活者の3割にとどまる。政府は策定した支援策を迅速に執行し、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に全力を尽くしてほしい。膨大な災害廃棄物の処理やインフラの本格復旧など、中長期の課題についても早期に道筋を付けたい。

一時は約4万戸に上った停電が月内にほぼ解消される一方、水道の仮復旧は早くて2月末、七尾市の市街地は4月以降になる。今も約4万戸で断水している。断水は被災者のみならず、水が必要な災害派遣医療チームの活動なども制約する。復旧の前倒しへ対策を急ぎたい。

体育館などへの1次避難者はピークの3・4万人から大幅に減ったものの、それでも9000人弱を数える。2次避難所への移行を促し、感染症の流行や災害関連死を未然に防ぎたい。

被害が大きい道路は、のと里山街道や能登自動車道などの復旧工事が2月上旬から始まり、土砂崩れがあった輪島浦上線は緊急復旧にも数カ月を費やす予定で、まだ時間がかかる。

進展もみられる。主要幹線道路の約9割が緊急車両などを通行させる緊急復旧を終え、鉄道の一部と航空便も再開された。災害ボランティアの受け入れも始まった。輪島市では31日に初めて18戸の応急仮設住宅が完成し、2月1日から珠洲市に続いて災害廃棄物の回収が始まる。

ただ復旧に向けた一歩を記したに過ぎない。政府は被災地への支援パッケージをまとめ、仮設住宅の建設を進めるほか、被災住宅の再建への補助、中小企業の工場・設備の復旧にも最大15億円支給する。これら施策を迅速に執行し、生活者と事業者の再建を急いでもらいたい。

政府は2024年度予算で予備費1兆円を計上し、幹線道路の復旧工事を国が代行する。内閣府によると資本ストックの損壊額は最大2・6兆円にも達する。政府は自治体の負担を軽減しつつ、機動的な財政出動で支援に全力を尽くしてほしい。

(2024/1/31 05:00)

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