産業春秋／中東が緊迫、報復の連鎖

中東情勢が一段と緊迫化し、１５日の東京株式市場の日経平均株価は、先週末終値比で一時７００円超も下落した。イランが１３日から１４日にかけ、イスラエルに対して大規模攻撃を仕掛けたことが背景にある。イランによるイスラエルへの初めての軍事攻撃になる。

イランが発射した飛行ロボット（ドローン）や巡航ミサイル、弾道ミサイルはほとんどがイスラエル軍などに迎撃され、イスラエルの被害は限定的だったという。ただイスラエルの報復が想定され、今後の原油価格の動向などを警戒したい。

イランによる大規模攻撃は、イスラエルが１日にシリアのイラン領事館を空爆したとみられることへの報復だ。報復の連鎖が懸念され、今度はイスラエルによる報復の時期や規模に焦点が移る。

米国はイスラエルとイランの全面衝突を望まない。バイデン米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に報復への軍事支援を行わないと電話会談で伝えたという。

中東情勢の緊迫化は米大統領選にも影響を及ぼしかねない。トランプ前大統領は、イスラエルが攻撃を受けたのはバイデン大統領の弱さが原因だと非難する。「もしトラ」を回避するためにもイスラエルには自制が求められる。