(2024/12/6 05:00)
欧州連合(EU)を主導するドイツとフランスの内政が混乱している。11月に連立政権が崩壊したドイツに続き、フランスも4日(現地時間)に内閣不信任決議案が可決され、内閣総辞職が決まった。混乱は長期化も想定される。両国が内政立て直しを優先し、国際協調への目配りがおろそかにならないか懸念される。EU経済の先行きも不透明感が強まり、日本経済への影響にも留意する必要がある。
フランスは7月の総選挙で与党が大敗し、中道与党、左派、極右いずれの党も過半数に達しない「宙づり議会」に陥っている。今回の不信任決議案は、歳出を抑制した2025年度予算案に反発した左派連合と極右連合が支持し、可決された。ユーロ圏は景気減速が懸念され、欧州中央銀行(ECB)は12日に3会合連続で利下げする見通しだ。有権者による現状への不満と不十分な内閣の対応が62年ぶりの不信任を招いたと言える。
フランスでは総選挙後1年間は解散できず、マクロン大統領が新たな首相を再任する必要がある。議会が納得する人選は難航が予想され、25年度予算の年内成立が見送られるのか注視したい。マクロン大統領の求心力の低下は避けられず、外交に影響が及ばないかも気がかりだ。
ドイツも25年度予算案を発端に国政が混乱している。景気対策を進めたいショルツ首相は11月、連立与党を組む自由民主党(FDP)のリントナー財務相を解任。財政規律を重視し、歳出拡張に反発するリントナー氏を退けたことでFDPが連立から離脱し、少数与党となった。
ショルツ首相は16日の信任投票で不信任となり、25年2月に総選挙が行われる見通しだ。フランスと同様、25年度予算案の年内の可決・成立は難しい。総選挙でポピュリズム勢力が伸長すればウクライナ支援も影響を受けかねないと懸念される。
欧州委員会によると、24年の実質成長率はフランスがプラス1・1%、ドイツがマイナス0・1%見通しだ。内政混乱と予算成立の遅れが景気をさらに減速させかねない。日本も輸出額の1割を占めるEUの行方を警戒したい。
(2024/12/6 05:00)
総合2のニュース一覧
- 太陽光パネル再生制度で政府方針 事業者負担で第三者管理、費用支払い確実に(24/12/06)
- 検証2024/強まる賃上げ圧力 企業規模格差鮮明に(24/12/06)
- 社説/独仏の内政混乱 「国際協調」「経済」の行方に懸念(24/12/06)
- IPCCの「特許検索競技大会」 最優秀賞に藤田有里氏(24/12/06)
- 再生エネ35年60%超 自民が基本計画提言案(24/12/06)
- 中村日銀審議委員、年内利上げはデータで判断 (24/12/06)
- 米景気、若干上向く FRBが12地区報告(24/12/06)
- 企業信用情報/4日、5日(24/12/06)
- 株式相場/4日続伸(24/12/06)
- 【おくやみ】村上弘氏(三井不動産グループ執行役員、三井不動産ビルマネジメント社長)(24/12/06)
- 【おくやみ】井阪健一氏(元平和不動産社長、元野村証券副社長)(24/12/06)