(2024/12/10 05:00)
政府は「第7次エネルギー基本計画」の素案を年内にまとめ、2024年度末の閣議決定を予定する。最大の焦点は40年度の電源構成だ。主力電源化を目指す再生可能エネルギーは、火力を上回る電源構成比が求められる一方、技術革新の行方など不確実性が存在する。脱炭素と安定供給、さらに産業競争力を高める上で原子力の積極活用が欠かせない。原子力発電所の建て替えと新増設について、確かな道筋を示してもらいたい。
現行の第6次計画は、30年度の電源構成を火力41%、再生エネ36―38%、原子力20―22%とする目標を掲げ、東日本大震災を教訓に「原発依存度を可能な限り低減する」とした。だがエネルギーをめぐる環境は、同計画を決めた21年から一変した。
22年のロシアによるウクライナ侵攻はエネルギー安全保障を脅かし、エネルギー自給率が約1割に過ぎない日本は、自前の脱炭素電源の確保が急務となった。加えて人工知能(AI)の普及に伴い、人口減で減少するはずの電力需要がむしろ中長期的に急拡大する見通しである。
岸田文雄前政権は23年の閣議決定で原発の積極活用に転じ、次世代革新炉の建設や既存原発の運転60年超認可も決めた。第7次計画も第6次計画から転換し、安全を確認した「原発の最大限の活用」を盛り込みたい。
原子力の23年度の電源構成比は8・5%と、30年度目標20―22%に遠く及ばない。30年代まで原発再稼働を推進したとしても、40年代には老朽化で稼働数が急減する。原発の建設には20年かかるとされ、次世代革新炉への建て替えや新増設の道筋も示す必要がある。建設に必要な巨費を、電力料金の上乗せで賄うかも含め、議論を深めたい。
原発再稼働や新増設は、安全の確保と地元同意が大前提だ。津波を想定した防潮堤や屋内退避施設・避難路の整備が欠かせず、使用済み核燃料の最終処分地の選定も進める必要がある。東京電力福島第一原発の廃炉作業も着実に進めたい。国民民主党は原発新増設を求めている。石破茂政権は前政権から引き継ぐ政策を強く推進してほしい。
(2024/12/10 05:00)
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