(2024/12/10 12:00)
対面開催、親睦を深める
日立建機は2000年度から「日立建機グループ国際技能競技会」、02年度から「サービス技術競技会」を定期開催している。延べ開催数は各19回と20回。国内だけでなく中国や北米、欧州、インドなど世界各国の選抜メンバーが参加し、霞ケ浦総合研修所や技術研修センタで腕を競う。「競技会はKenkijinスピリットを体験する場だ」。生産・調達本部モノづくり改革室共通基盤強化部の松井量部長は話す。
国際技能競技会は日本と中国、インド、インドネシア、オランダから合計75人が参加した。競技種目は溶接、塗装、計測、組み立て、運搬、加工、溶接ロボットの8種目。競技時間は数時間から終日と長く、会場には緊張感が漂う。「海外メンバーは第1回から参加していた。会場も今回は日本だが、過去に中国やインドネシアなど各国で開催している」。松井部長は明かす。
サービス技術競技会は北米や欧州、アジアなど、世界10地域から選ばれた計10人が出場した。建機の商品名であるZX200―7部門では販売サービス子会社の日立建機フランス、ZX200―5G部門では中国の代理店メンバーがそれぞれ最優秀賞に輝いた。「中国代理店の王猛さんは「世界大会に参加でき、大変光栄。今回の経験は非常に貴重であり、今後もサービス技能向上に努めたい」と語る。
日立建機は営業マンの支援ツールをはじめ、早くからIT化に取り組んでいる。それでもあえて“対面の”競技会にこだわるのは競技を通じて技術者同士がコミュニケーションし、ともに学び、成長していく結果を重視していることにほかならない。「メンバーがじかに顔を見て親睦を深め、情報交換できるメリットは大きい。一度関係ができると、後のやりとりもスムーズにいく。海外に行った時でもこの人間関係が生かされる」。人財本部人財開発統括部技術・技能教育部の山本光部長は強調する。
自動車や半導体のような量産品と違い、建機には工場ラインで手作りする部分がまだ多くある。それだけ一人ひとりの職人技が生きるということだ。同社の海外売り上げ比率は24年度上期で85%。海外で生産した建機の品質を国内と同等に保つことは至上命令だ。
競技会には過去に3位以内に入賞した者は同じ競技に参加できないなどの決まりがある。同じメンバーが繰り返し優勝すると他メンバーの参加意欲がそがれる。それを避けるためメンバーは基本的に新メンバーで新陳代謝を促し、全体レベルの底上げを図る。
今後の課題は女性参加者を増やすことだが「レベルアップが最重要なので女性を意識的に増やすことは考えていない」(山本部長)。
(2024/12/10 12:00)
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