インタビュー/アイカ工業品質保証部財務統括部海外業務グループ・堀豊氏

(2024/12/10 12:00)

続けていれば視界開ける

アイカ工業品質保証部の堀豊氏は、ロングセラー商品のメラミン不燃化粧板「セラール」開発のキーマンだ。今でこそ、代表製品の一つに挙げられるものの、発売当初は売り上げが伸びず苦戦が続いたことも。ヒット商品に押し上げた原動力は、失敗を恐れず、努力を続けるチャレンジ精神だった。

―研究開発に携わってきたキャリアを教えてください。

「入社から27年間を開発部門で過ごし、主にメラミン化粧板の開発に携わった。世の中にないものを作って、社会貢献したいという気持ちで取り組んだ。入社当時は『自由なテーマで、何でもやってみろ』という風土が残っていて、それがセラールを生み出すきっかけにもなった。会社の収益を担う製品を開発できたことと、開発に取り組む過程で後輩たちが育ったことは喜ばしく思っている」

―セラールは発売当初に苦戦が続いたそうですね。

「アスベストを含まず、高強度で意匠性に優れていたが、まだ、そうした特徴だけで売れる時代ではなかった。セラールを廃番にするべきだという議論も何度かあった。しかし、当時の社長ら経営層が『将来必要になる製品だ』という意思を変えなかったことで続けることができた。自分としてもコストダウン、製法の改良、工法の開発などのほか、営業にも参加して用途開発に取り組んだ」

―研究開発という仕事で大切にしていることは。

「継続は力なりだ。続けていれば視界が開けてくる。気持ちの面で大事にしている言葉として、芸事の世界で物事を学ぶ段階を示した『守破離』がある。開発の場合は、失敗の中から新しいテーマに結びつけるセンスを培っていくことに通じる」

―地域貢献活動にも取り組んでいます。

「自宅近くの敷地を利用して、2023年6月から市民農園を始めた。地域の人たちに交流の場として開放しており、利用者の中には外国人もいて、自分自身も交流の幅が広がっている。社会貢献と生涯現役プロフェッショナルを目指して取り組んでいきたい」

(2024/12/10 12:00)

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