(2024/12/11 05:00)
軽量骨材不足で出荷低迷
セメントの国内販売が低迷している。セメント協会がまとめた10月のセメント国内販売量は前年同月比3・9%減の306万3846トンと、26カ月連続で前年割れとなった。時間外労働の規制に伴い、ビルを中心とした工事の遅延が実需の不振につながっている。
10月のセメント国内販売は全11地区のうち、7地区が前年割れとなった。特に大きく落ち込んだのは東北地区で、前年同月比13・4%減。秋田県の成瀬ダム工事向け需要のピークアウトや仙台地区で生コンクリートの出荷が不調だ。
東京を含む関東1区は同6・4%減少した。東京を中心に再開発工事が進むが、高層ビルの建設に必要な軽量骨材の需給が逼迫し、生コンクリートの出荷量も減少している。セメント協会の福嶋達雄流通委員長(住友大阪セメント常務執行役員)は「高層建築では軽量コンクリートだけでなく、高強度コンクリートなども使われる。軽量骨材不足でさまざまなコンクリートに影響が出ている」と話す。
一方、北陸地区は富山県や石川県で民間地区物件工事があり同7・0%増、近畿地方は新名神高速道路や第二神明道路などの道路工事向け需要で同1・2%増となった。
2024年4-10月累計のセメント国内販売量は前年同期比5・7%減の1939万5000トンとなった。下期以降も状況改善の見込みは立たないとし、セメントメーカー大手3社はセメント国内需要予想を期初の3500万トンから3300万トンに下方修正した。
また、建設技能労働者の過不足率は依然として不足感が強い。特に北海道・東北・関東・近畿・四国地域を中心に不足が目立っている。
セメント需要につながるゼネコン大手50社の手持ち工事月数は8月時点で17カ月と高水準で推移するが、福嶋流通委員長は「ゼネコン側が(1週間のうち2日は一斉に現場を閉所する)4週8閉所の取り組みを推進し、工期の延長につながっている」と指摘。セメントのさらなる出荷減少を懸念する。
(2024/12/11 05:00)