(2024/12/11 12:00)
理研計器の開発センター・生産センター(埼玉県春日部市)は、ガス検知器センサーを製造する主力拠点だ。製造ラインの自動化が進む一方、センサーの心臓部である電極や素子を扱う作業は経験や感覚に頼る部分が大きい。手作業段階から部分的にロボットを導入するなど、工数の削減や作業者の負担軽減を両立する。製造ラインの短時間停止(チョコ停)を減らし、歩留まりを高めることで生産性の向上を目指す。
開発センター・生産センターでは、毒性ガスや酸素を検知するための電気化学式センサーと、可燃性ガスの検知に使う接触燃焼式センサーを製造する。センサーの軽薄短小化のニーズが高まる中、人手作業では品質にバラつきが出やすく、製造ラインの自動化が欠かせない。
理研計器も既存の自動機、半自動機などの活用や増設で需要に応える。木崎昭二取締役執行役員は「製品の小型化には一番力を入れている。ユーザーが負担なく身に付けられる安全な機器を開発するために努力している」と話す。
同センターには現在、センサーの生産に必要な自動機が9台、半自動機が27台ある。「電気化学式センサ自動機」は同センターの自動機の70%を占める。コイルを巻き、両端をスポットで溶接する「接触燃焼式センサ 溶接半自動機」など部分的な自動化にも対応する。2025年以降には自動機3台の増設を計画している。
ロボットの導入にも積極的だ。電極を溶着する「電気化学式センサ 溶着ロボット」を導入し、工数削減や従業員の負担軽減に取り組んでいる。「ロボットの数を増やしたい。繰り返しが多く、疲れを伴う作業による負担を軽減したい」と木崎取締役執行役員は意欲を示す。
次世代の技術者の育成や安定した技術の継承が課題だ。センサーの心臓部である電極や素子を扱う作業は緻密さが求められる。「経験値や感覚に頼る部分が大きい。どうしても人がやらねばならない作業の技術伝承で苦労している」(木崎取締役執行役員)と明かす。
生産効率を下げるチョコ停の改善や歩留まりの向上にも取り組む。人工知能(AI)や画像処理技術を取り入れるなど「(製造ラインの)現在の稼働率は80―90%だが、100%を目指す」(同)と意気込む。
1939年設立の同社は産業用ガス検知警報機器の大手メーカーだ。センサーの小型化や製造ラインの自動化、ロボットの導入などで技術力の底上げにつなげる。
(2024/12/11 12:00)
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