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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/7/8 18:00)
(ブルームバーグ)イーロン・マスク氏は米ネバダ州の砂漠に世界最大のバッテリー工場を完成させようと急いでいる。しかし、それを生産量で圧倒する構えの国がある。中国だ。
ブルームバーグ・インテリジェンスが6月末に発表した リポートによれば、中国企業のバッテリー工場増設計画を合わせると、生産能力は2021年までに年間120ギガワット時以上となる。ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンス(BNEF)の試算では、これは年間ベースでマスク氏が最高経営責任者(CEO)として率いる米テスラの「モデルS」約150万台、あるいはトヨタ自動車の「プリウスPHV」1370万台にバッテリーを供給するのに十分な量だ。
「ギガファクトリー」と呼ばれるテスラのネバダ工場の生産能力は、完成予定の18年で最大35ギガワット時にすぎない。
リチウムイオンバッテリーは長い間、スマートフォンやラップトップコンピューター、他のパーソナル機器に使用されてきたが、需要は向こう5年で爆発的に増えると予想されている。電気自動車の普及のほか、風力や太陽光などの自然エネルギーの増減をならすために電力会社が超大型の蓄電システムを導入するためだ。
テスラの生産台数は16年が約8万4000台。18年には50万台に引き上げる計画を示している。
テスラのギガファクトリーは規模も話題性も世界一かもしれないが、中国政府は自国が優位なバッテリー市場におけるシェアをさらに高めるために大攻勢を仕掛けている。
世界のリチウムイオンバッテリー生産の約55%は既に中国が拠点となっており、米国は10%にとどまる。中国のシェアは21年までに65%に拡大すると、BNEFは試算する。
BNEFのアナリスト、コリン・マッケラシャー氏は「これは産業政策に関する話だ。中国政府はリチウムイオンバッテリーを2020年代以降の極めて重要な産業と位置付けている」と指摘した。
世界のバッテリー生産能力は全体としては21年までに273ギガワット時に増える見通し。現在は約103ギガワット時で、2倍余り増加することになる。巨大なチャンスであり、中国はそれを逃すまいとしている。
データ提供会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのマネジングディレクター、サイモン・ムーアズ氏は「3年前に発表されたギガファクトリーが世界のバッテリー生産競争に火を付けた。中国はそれを強力に推進している」と述べた。
(2017/7/8 18:00)