MF-TOKYOの歩き方
これからの日本の金型産業は、従来の考え方や枠組みを変え、高付加価値な技術の開発・提案を行っていくことが競争力強化のカギとなる。その方向に踏み出すにあたっては、同じく金型先進国であり、日本とは異なる技術や考え方をもつ、ドイツをはじめとした欧州諸国や米国の金型づくりの取組みが一つのヒントになり得る。そこで本特集では、欧米の金型・成形技術をピックアップする。
技術分野での世界の状況を概観すると、米国はITやバイオなどの先端技術で世界をリードしてきたが、中国が「中国製造2025」を政府主導で推進し、米国が得意な分野で活動を強めて競争するようになり、米中貿易戦争に発展しつつある。一方、日本と欧州は自動車などの製造分野で世界をリードしており、自動車では日欧の企業が米国や中国で販売競争をする図式であり、今後も日欧が開発競争を続ける可能性が高い。
今まで中国は、日本や欧州を目標として生産技術の開発を進めて一部分野では追いついたが、技術移転がなされていない先端的な生産技術では、日欧と競争できる状態にはなっていない。こうしたことから、日本では特に欧州の技術開発の状況を把握しておく必要がある。ここでは欧州の鍛造技術について、日本との相違点を中心にして見ていくことにする。
当社はオーストリアに本社をもつ鉄鋼メーカーであるvoestalpine グループに属し、Bohler(オーストリア)、Uddeholm(スウェーデン)が製造する各種型材を日本国内で販売している。このような背景から欧州市場ともかかわりが深いため、かつて型技術誌2012年6 月号で「欧州メーカーに学ぶ金型技術」が特集された際にも、欧州における型材活用について投稿(以下、前報1)と記す)した。前報から約7年が経過し、新たな技術・市場が創出された。
本稿では、このような新市場を中心に、欧州と日本の型材活用の違いについて解説する。
図1 は国際金型協会ISTMA の統計2)に基づき、主要各国の金型生産額の推移(2012~2015 年)を示したものである。前報でも同様な統計(2006~2009 年)の報告を行ったが、世界同時不況の影響で、中国を除き右肩下がりの...
IHI Ionbond(以下、当社)は、欧州に18 カ所のコーティングセンターを有する受託コーティングメーカーとして、自動車部品・金型・切削工具・産業機械部品・航空宇宙・医療・装飾と多様な製品にコーティングを施工しており、金型向けでは独自の膜種も提供し高い評価を得ている。本稿では、当社の欧州拠点および金型部門より得た情報をもとに、自動車のホワイトボディ・シャシー用プレス金型の表面処理技術の動向を解説するとともに、当社のコーティングを紹介する。
欧州はホットスタンピング工法の先進市場であること、ボディ・シャシーへのアルミ材適用が急拡大していることと合わせて、大手スタンピングメーカーへの外注比率が高いことなど、日本とは異なる市場環境があるものの、金型の表面処理に対する基本的な考え方や取組みは日本と大きく変わることはない。型寿命の改善によるツールコストの低減とライン稼働率の向上を目的として、加工条件と被加工材に合わせて各種コーティングが提案され、日々改良の努力...
工作機械はイギリスに端を発し、ドイツやスイスなど欧州各国で発展を遂げた。欧州の工作機械は日本の製造業に影響を及ぼしているが、日本の工作機械や金型部品産業が成熟した現在では、多くの日本製工作機械が欧州で稼働するまでになった。とはいっても、欧州の工作機械や金型は、日本とは異なる設計思想で開発されており、今も市場で強さを発揮し日本に新しい価値を提供している。
今まで中国は、日本や欧州を目標として生産技術の開発を進めて一部分野では追いついたが、技術移転がなされていない先端的な生産技術では、日欧と競争できる状態にはなっていない。こうしたことから、日本では特に欧州の技術開発の状況を把握しておく必要がある。ここでは欧州の鍛造技術について、日本との相違点を中心にして見ていくことにする。
型技術とは・・・わが国唯一の金型総合技術誌。1986年の創刊以来、自動車、電機、電子分野の金型を中心に、金型の設計・構造をはじめ材料、工作機械、工具、CAD/CAM/CAEに至る広範な情報をタイムリーに提供。(毎月16日発売)
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