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【2018年訪日外国人の年間動向と2019年の予測】訪日外客数伸び率1位はベトナム、検索数から見える訪日外国人のトレンドは?

(2019/2/14)

カテゴリ:調査レポート

リリース発行企業:アウンコンサルティング株式会社

【2018年訪日外国人の年間動向と2019年の予測】訪日外客数伸び率1位はベトナム、検索数から見える訪日外国人のトレンドは?

2019年のインバウンド市場におけるWebプロモーションのトレンドを予測します

 アウンコンサルティング株式会社(東証二部:2459、本社:東京都文京区、代表取締役:信太明、以下アウンコンサルティング)は、アジア9拠点で、マーケティング(SEM(検索エンジンマーケティングサービス、インターネット広告など)、アセットなどのグローバルコンサルティングを展開しています。また、アジアにおいていち早くSEOを事業化し、2018年6月より21期目を迎えています。  3,119万人の訪日外国人客(以下、訪日客)数を記録した2018年。中国では、全市場で初めて800万人台に達したほか、タイでは113万人と東南アジア市場で初めて100万人台を突破しました。また、香港を除く19市場で過去最高を記録するなど、国別に見ても記録的な年となりました。訪日市場は、東アジアからの訪日客のリピーター化や、東南アジアの訪日客が前年比で大きく増加するなど、常にトレンドが変化しています。  この度は、2018年の訪日外国人の年間動向調査結果と、2019年の予測を発表いたします。


【2018年のインバウンド市場】
■中国、全市場初の800万人突破。伸び率が最も多いのはベトナム
2017年の訪日客数は、前年比19.3%増の約2,869.1万人(+465万人)に対し、2018年の訪日客数は、前年比8.7%増の約3,119.1万人(+250万人)に達しました。日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降、累計で過去最高を更新し、7年連続の増加となりました。一方で、北海道や関西の震災等の影響もあり、2017年と比較して訪日客の伸び(数、率ともに)が鈍化しているため、今後も引き続き積極的なプロモーションが必要となってくるでしょう。
国・地域別で見ると、訪日客が多い上位3地域は、昨年と同様、1位:中国838.0万人(前年比 102.4万人増、13.9%増)、2位:韓国753.9万人(前年比 39.8万人増、5.6%増)、 3位:台湾475.7万人(前年比 19.3万人増、4.2%増)となりました。
また、伸び率が増加している国・地域として、ベトナム38.9万人(前年比 8.0万人増、26.0%増)、ロシア9.4万人(前年比 1.7万人増、22.7%増)、スペイン11.8万人(前年比 1.9万人増、19.1%増)が挙げられます。欧米圏は、米国152.6万人(前年比 15.1万人増、11.0%増)、英国33.4万人(前年比 2.3万人増、7.6%増)という結果になりました。
なお、観光庁では、団体旅行の割合が高いベトナムで現地旅行会社に向けた取り組みを強化し、セミナー商談会や旅行会社と連携した訪日旅行推進キャンペーンなどの実施や、SNSでの情報発信に力を入れていました。このような取り組みがベトナム訪日客の伸び率上昇の後押しをしたと考えられます。

【2018年インバウンド市場に関わる出来事】
■2018年インバウンド市場に関わる主な出来事
・タイ・エアアジアX:札幌―バンコク便再開開始(4月)
・Airbnb:住宅宿泊事業法の施行に伴い、6月15日以降の無届け物件の予約大量キャンセル(6月)
・地震と台風の影響で2013年以来、5年8か月ぶりに前年同月比で訪日数減(9月)
・台湾:遠東航空 新潟―台北線12月~3月インバウンド向け臨時便を週4便へ増便(12月)
・シンガポール航空:羽田便を1日4便に増便 (12月)

今年は災害が非常に多く、夏から秋にかけての一連の災害等の影響で韓国(6月から)や台湾(9月から)においては前年同月期を下回りましたが、SNSなどを通して正確な情報を届ける等、観光需要の復興に向けた取り組みによって前年同月を上回るまでに回復しました。

【リピーターについて】
■訪日回数について
以下は、2014年・2017年・2018年の訪日客数の多い時期(7-9月)にレジャー・観光を目的とした訪日回数を比較したデータとなります。リピーターの割合が増えていく中で、東南アジアのシンガポール(+6.6%)、ベトナム(+5.5%)、インド(+23.9%)について、初回訪問の比率が増えています。これらの国々は、東アジアと比較して移動距離が長いため、リピーターを獲得するための施策を強化していく必要があります。また、訪日に限らず、越境ECなどを通して日本文化や日本の商品への需要を継続的に誘発する施策を考えていく必要があります。


出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成26年7月~9月 集計結果
参考表3 国籍・地域(19区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】
観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成29年7月~9月 集計結果
参考表3 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】
観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成30年7月~9月 集計結果
参考4 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】を参考に
アウンコンサルティングで加工

【都道府県別宿泊者数】
■地方観光地への宿泊数が増加
以下は、訪日外国人の都道府県別宿泊者数をまとめたものです。上位10位に変化はありませんでしたが、前年同期比の増加率を見ると主要観光地に加え、東北や九州など地方観光地がランクインしています。ただし、比較データ期間が7-9月と夏の時期であるため、季節による偏りがある可能性があります。

<2017年/2018年 7-9月都道府県別宿泊者数>

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査 平成29年7月~9月 集計結果
第3表 年、月(12区分)、施設所在地(47区分及び運輸局等)、従業者数(4区分)、宿泊目的割合(2区分)別実宿泊者数
観光庁 宿泊旅行統計調査 平成30年7月~9月 集計結果
第3表 施設所在地(47区分及び運輸局等)、従業者数(4区分)、宿泊目的割合(2区分)別実宿泊者数を参考にアウンコンサルティングで加工

【都道府県別訪問率】
■リピーターの地方分散、インド人の千葉への訪問率が高い
以下は、47都道府県のうち、訪問率が多かった地域をまとめたものです。(5%以上を緑、10%以上を黄色、20%以上を赤に色付け)
全体的に見ると大阪への訪問率が低下し、山梨や愛知、奈良などの地域に分散しています。また、東南アジアからの訪日客は東京や千葉、大阪など主要観光地に集中していることがわかります。
国と地域別で比較すると、韓国からの訪日客は東京・千葉への訪問率が低く、福岡などの観光地に分散しています。なお、大分については、他の都道府県に比べ訪問率は低いものの、「別府温泉」や「由布院温泉」などの温泉地への関心が高いため(参考:検索数から見る「春節」動向調査)、訪問率は増加傾向にあります。
また、韓国では若者層や家族層をターゲットとした SNS 旅行専門チャンネルや YouTuber とのメディアタイアップキャンペーンなどが観光庁によって行われました。これらの地方誘客を目的とした細かい旅行需要に合わせたSNSプロモーションの強化を通して、このような結果になったと推測します。また、国内のアミューズメンド施設の少ないインドからは、千葉県への訪問率が34.2%と多く、ディズニーランドへの観光客であると推測できます。

<2017年7-9月都道府県別訪問率>


<2018年7-9月都道府県別訪問率>

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成29年7月~9月 集計結果
参考表6 国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率 【観光・レジャー目的】
観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成30年7月~9月 集計結果
参考表6 国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率 【観光・レジャー目的】を参考にアウンコ
ンサルティングで加工

【外国人消費動向】
■インドネシア・フィリピンが個人旅行パッケージ商品にシフト
以下は、アジアの国と地域の消費動向をまとめたものです。旅行前支出に関しては、母数は少ないものの団体パッケージツアーからの申込がインドネシア(-23.9%)・フィリピン(-93.8%)と減少し、個人旅行向けパッケージ商品の申込がインドネシア(+56.4%)・フィリピン(+85.4%)と増加しています。また、リピーターの多い台湾では個人旅行向けパッケージ商品の申込が前年同期比+22.3%となりました。

<旅行前支出>




出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成29年7月~9月 集計結果
参考表4 国籍・地域(21区分)別 費目別購入率および購入者単価 【観光・レジャー目的】
観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成30年7月~9月 集計結果
参考5 国籍・地域(21区分)別 費目別購入率および購入者単価 【観光・レジャー目的】を参考
にアウンコンサルティングで加工

■「爆買い」中国人の勢いは鈍化、次の爆買い市場はフィリピン?
以下は、日本に滞在中の支出をまとめたものです。リピーターの多い台湾・香港では、娯楽や買い物より宿泊や飲食費にお金をかける傾向にあります。対して、タイ・シンガポール・マレーシア・ベトナム・インドでは娯楽サービス費にお金をかける傾向にあります。
中国人の買い物代は97,719円と高いものの、前年同期比は-5.2%となっており、中国人の「爆買い」は近年鈍化傾向にあります。対して、フィリピン人の買い物代は31,637円から44,817円で前年同期比+41.7%と大幅に伸びています。

<滞在中支出>






出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成29年7月~9月 集計結果
参考表4 国籍・地域(21区分)別 費目別購入率および購入者単価 【観光・レジャー目的】
観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成30年7月~9月 集計結果
参考5 国籍・地域(21区分)別 費目別購入率および購入者単価 【観光・レジャー目的】を参考
にアウンコンサルティングで加工

【訪日客の検索動向】
以下は、2018年の1年間における各ワードに対する検索数を調べたものです。訪日客数の伸び率が最も大きかったベトナムでは、「日本旅行(前年比+94.0%)3,990回→4,200回」「大阪旅行(前年比+69.3%)2,670回→4,520回」と、大幅に検索数が伸びていることがわかりました。なお、検索数の伸びている大阪の観光地について調査したところ、「海遊館」や「通天閣」などの検索数はほとんどありませんでした。現状では、各観光地の知名度は低いため、今後、大阪への観光客が増加していく過程で知名度が高まっていくのではないかと推測します。「東京旅行」においては、検索数が1年間で4,200回程度なのに対して、「原宿」などの地名検索は14,800回と、大きく上回っており、大阪と対象的な現象が起きていることがわかりました。
また、「日本旅行」と「京都旅行」の検索数では、多くの地域が前年比で減少傾向にあるなか、唯一ベトナムだけが大幅に伸びております。

【Google AdWords検索数】
<日本旅行>


<東京旅行>


<大阪旅行>


<京都旅行>

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ

【2019年の予測】
■政府目標:2020年の訪日客数4,000万人・消費金額8兆円に向けて
多くの災害や民泊サイトAirbnbの大量キャンセルなどの大きな変動要素もありましたが、訪日客数は、中国で初の800万人突破など、順調に推移していき、全体では史上初めて3,000万人を超え、3,119万人を達成しました。2018年もインバウンドマーケットとしては、順調に拡大・成長した年といえます。一方で、政府が掲げている2020年までに訪日客数4,000万人、消費金額8兆円という目標について、特に消費金額に大きな開きがあります。「爆買いブーム」が去り、平均消費金額も徐々に減少している状況の中で、より一層の努力が必要といえます。

【 2020年 4,000万人に向けて必要な訪日外国人増加数 】
2016年:2,403万人(前年比 430万人増、+21.8%)
2017年:2,869万人(前年比 466万人増、+19.3%)
2018年:3119万人(前年比 250万人増、+8.7%)
2019年:3559万人(前年比 440万人増、+14.9%が必要)
2020年:4000万人(前年比 440万人増、+12.9%が必要)

【 今後、毎年440万人増加した場合の消費金額想定 】
2016年:3兆7,476億円(+7.8% ※平均消費額/人:15.6万円)
2017年:4兆4,161億円(+16.9% ※平均消費額/人:15.4万円)
2018年:4兆5,064億円(+2.0% ※平均消費額/人:15.3万円)
2019年:5兆1,796億円(+14.9% ※平均消費額/人:15.3万円)
2020年:5兆8,528億円(+12.9% ※平均消費額/人:15.3万円)
※2019年以降の平均消費金額は2018年度同金額にて算出

まず、訪日客数の目標を達成するためには、毎年最低でも440万人ずつの増加が必要になります。今後、安定的に毎年440万人の増加を目指すためには、訪日客数を増やす更なる取り組みが必要だと考えます。
また、消費金額に関しては、近年、訪日客が増加しているのに対して、平均消費金額は減少傾向にあります。仮に訪日客数が順調に増加したとしても目標額に届かない事が想定されるため、より一層の努力が必要です。 なお、以下のような取り組みが考えられます。

▽外国人訪日者数増加に向けた取り組み
・インフラ(受入)整備の拡充化継続
・更なるビザ緩和、免除拡大
・リピーター獲得に向けた取組(インフラ整備、地方圏への誘客、Webを活用した細かなプロモーション)
・民泊関連の整備(宿泊施設供給数の増加)
・アジア圏以外の国・地域からの訪日旅行客の増加へ向けた取組(プロモーション強化)

▽平均消費金額増加にむけた取り組み
・ナイトタイムエコノミーへの取り組み
・滞在日数の増加、地方への誘客(+1日の取組み)
・越境ECを活用した旅前プロモーション

2018年7月20日にはIR推進法が可決されました。ナイトエコノミーの推進を含め、従来の取り組み事項に加えてインバウンドマーケットの成長に向けてより一層の努力が必要です。また、2019年には東京オリンピックに先立ってラグビーワールドカップが開催されます。今後もインバウンドマーケットに目が離せません。

【2019年のインバウンド市場におけるWebプロモーションは?】
■訪問先が分散するリピーター層に対してはSNSを活用したプロモーションが鍵
2018年は、リピーターが多くFIT(個人旅行)化が進んでいる国に向けて、SNSを活用したインフルエンサー施策が行われ、訪日客数の増加を後押ししました。今後もリピーターが増加し、「地方誘致」や「ニーズの分散」が進んでいく中で、より細かなターゲティングが可能なSNSを活用したWebプロモーションがトレンドになると予測します。

■旅行中の消費額増加を目的とした越境ECの活用
東アジアを中心に越境ECが盛り上がりを見せる中、東南アジアでもその需要は高まっています。しかし、特に東南アジアでは偽物が多く、その不信感から、現地に旅行した際に実物を確認して大量購入するというトレンドになっています。そのため、訪日前にいかに商品の認知度を高めていけるかが重要となってきます。

今年はIR推進法の動きが強まるなど、新たな動きが予想される同市場に対して当社としても、日々多くのインバウンド事象を分析し、価値ある情報を発信したいと考えています。
もちろん政府が掲げた目標を達成する事体がインバウンドマーケットの成長というわけではありませんが、東京オリンピック終了後も見据えたインバウンドマーケットの成長に少しでも貢献できるよう、尽力して参ります。

【調査概要】
【調査主旨】
【2018年訪日外国人の年間動向と2019年の予測】
訪日外客数伸び率1位はベトナム、検索数から見える訪日外国人のトレンドは?

【調査要綱】
調査日:2019年1月8日 ~ 2018年2月1日
調査対象時期:2018年
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