[ ICT ]
(2017/8/27 09:30)
米テスラのイーロン・マスクCEOが2016年に設立した脳科学関連スタートアップのニューラリンク(サンフランシスコ)が、2695万ドル(約29億円)の資金を調達したことが分かった。今回の資金調達で、とりあえず人間の脳とコンピューターとのインターフェース技術の開発に向けて一歩踏み出した格好だ。同社の事業内容はSFのようで非現実的に見える一方、米フェイスブックやソフトバンクグループ傘下の英ARMも脳関連の技術開発に乗り出しており、関心の的となっている。
ニューラリンクが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった。それによると、ニューラリンクの1億ドルに相当する株式売却の申し出に対して投資家12人が応じ、計2695万ドルを調達した。マスク氏は26日にツイッターで「ニューラリンクは現在、資金調達をしていない」とツイートし、当面は追加の資金調達の必要がないことを表明している。
マスク氏のこれまでの説明によれば、ニューラリンクは埋め込み型のデバイスを介して、脳とコンピューターとで大量の情報をやり取りできる技術の確立を目指している。その成果を病気や怪我で脳を損傷した患者の支援に役立てるほか、人工知能(AI)の脅威に対抗するための人間の知能レベルの飛躍的向上、さらに人間同士の脳を接続し、意思を伝え合うテレパシーのような機能の実現も狙っているとされる。
ただ、ニューラリンクの企業内容や技術の詳細については、これまでほとんど明らかにされておらず、ウェブサイトも非常に簡素な作り。同サイトでは会社の大まかな目標のほか、チップデザイナーやハードウエアシステムエンジニアなど9つの職種についての募集案内が記載されている。
シリコンバレー屈指の連続起業家であるマスク氏が創業し、現在経営に携わる企業は、電気自動車(EV)のテスラ、宇宙機開発のスペースX、自動車専用道路や超高速交通システム「ハイパーループ」のためにトンネル掘削を行うボーリング・カンパニーに続いて4社目。
脳関連の技術開発をめぐっては、フェイスブックが頭に思い浮かべるだけで文章を作成できるコンピューターの入力技術を開発中と4月に表明したほか、5月にはARMが神経疾患の治療に使う脳埋め込みチップの開発を目的に、米ワシントン大学感覚運動神経工学センター(CSNE)と協力すると発表している。
(2017/8/27 09:30)