(2024/12/5 12:00)
サンゲツは壁紙など内装材の新たな配送体制の構築に取り組んでいる。積み込み、積み下ろしの作業時間を短縮するため、従来の手作業に代わりパレット輸送を採用し、ドライバーの負担軽減、作業の省人化を図る。国内2カ所の物流拠点で実証を始めた。内装材は注文から納品まで短納期なのが特徴。これを支える配送体制としてリードタイムを維持しつつ、効率化と持続的なサプライチェーン(供給網)実現を目指す。
「物流の2024年問題」解決の一つとして、サンゲツは労務負担が大きい内装材の積載作業の効率化を目標に定めた。基本とする「当日オーダー、当日配送」を維持しつつ、作業の効率化と荷役時間の削減を目指しており、松尾豊執行役員ロジスティクス部門ゼネラルマネージャーは「リスクをチャンスに変える」と物流変革に挑んでいる。
壁紙などの内装材は多くが巻物状の荷姿で輸送する。巻物の長さは約50メートルにもなる。製造工場など調達先からの積み込み、同社物流拠点での積み下ろしは、内装材の巻物を1本ずつ手作業で行うことが多い。
積載効率を向上するために採用した方法がパレット輸送だ。使用するパレットは、パレットメーカーと協力して開発した。パレットには巻物状の内装材を16―20本積載可能。輸送、荷役の際はフォークリフトでパレットごと積み込み、積み下ろしできるようにした。
手作業で1本ずつトラックに積み込み、積み下ろしを行う場合、それぞれの作業時間は120分程度かかる。パレット輸送を取り入れると、作業時間はそれぞれ約15分と大幅に短縮。積み下ろしや待機時間が短縮し、ドライバーの労務時間短縮と省人化が期待できる。
全国11カ所の物流拠点のうち、9月から旗艦拠点と位置付ける北関東ロジスティクスセンター(LC、埼玉県久喜市)、中部LCⅡ(愛知県稲沢市)でパレット輸送を取り入れ、2025年2月まで実証する予定。松尾執行役員はこれまでのところ「期待した効果を得ている」と評価し、引き続きメリットや課題などを探っていく。
全国の物流拠点へのパレット輸送の横展開も進めている。同社は建築現場だけでなく、販売代理店、住宅メーカーなどへの納品など、きめ細かな配送体制を特色とする。「ラストワンマイルの実現に向けて配送品質の維持、向上を目指す」(松尾執行役員)とし、輸送機能の強化を進めていく。
(2024/12/5 12:00)
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