(2024/12/9 12:00)
判定アルゴリズム内製
三菱ふそうトラック・バスは人工知能(AI)を活用し、工場の構内搬送車両の稼働率を自動判定するアルゴリズムを内製した。川崎製作所(川崎市中原区)の搬送車両約200台に3次元(3D)加速度センサーを装着。同センサーから得られる膨大なデータを基に稼働率を算出し、車両の最適な配置につなげようとしている。他拠点への活用事例の水平展開にも着手した。同社では業務にAIを活用する機運が高まりつつあり、今回の事例でさらに弾みがつきそうだ。
川崎製作所の構内では、部品を運ぶフォークリフトやターレトラックが計約200台稼働する。頻繁に輸送が行われる場所に配備された車両は休みなく稼働する一方、輸送頻度が低い工程の車両は限られた時間しか稼働しない。「台数が多過ぎないか。どう平準化させるか」(池田知弘ロジスティクスプロセスプランニングマネージャー)が課題だった。
そこで工場内物流企画チームと物流の自動化・デジタル化推進のチームが協力し、稼働率の特定に着手した。200台という多くの車両から信頼性のあるデータを取得するため、さまざまな自動化ソリューションを検討。その結果、センサーを装着するだけというシンプルかつ必要なデータを収集できる手法を採用した。
センサーでは左右・前後・上下の3方向に、どの程度のスピードで、どれだけ動いたかのデータを収集。いつ、どの車両が、どれだけ稼働したのかを可視化した。「(表計算ソフトの)『エクセル』でも頑張れば分析できるが、目視での確認が必要で、データの客観性も担保できない」(山内浩平物流自動化&デジタライゼーションチームマネージャー)ため、稼働をAIが自動判定する仕組みを自社開発。分析の結果、週平均稼働率はフォークリフトが67%、ターレトラックが67・5%というデータを得た。
分析やプログラミングにたけた人材が決して多いとはいえない中、物流チーム内で関連する知識を持つ人材の力を結集。山内マネージャーは「外部に委託すると数千万円程度かかる。内製により費用を抑えられ、導入までの時間も短縮できる」と自社開発の利点を説明する。
今後は稼働率データを基に搬送車両の配置の最適化を推進する。生み出せた時間や資金といった余力を物流の「2024年問題」の対策などに充てる方針だ。さらにセンサーで車両の上下方向の動きが分かるメリットを生かし「構内の路面のメンテナンス時期の見極めなど、稼働率把握以外の用途も検討したい」(池田マネージャー)と意気込む。
(2024/12/9 12:00)
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