EV電池に照準 ワイヤードのレーザー乾燥機

(2024/12/9 12:00)

  • ワイヤードが開発したレーザ乾燥試作機「WiDRY」

ワイヤード(新潟県三条市、外山達志社長)は、ロール状に巻いた加工対象物(ワーク)にレーザー加工を施して再度巻き取る「ロール・ツー・ロール」のレーザー加工機を開発・製造している。独自の光学設計によって1秒間に20万個の微細な穴開け加工ができ、ロール・ツー・ロールの特性と合わせて効率的な大量生産を可能にする。新たにロール・ツー・ロールのレーザー式乾燥機を開発した。電気自動車(EV)対応のため設備増強を進める電池メーカーを新たなターゲットに据え、攻勢をかける。

レーザー式塗工乾燥機「WiDRY(ワイドライ)」はロール状に巻かれたワークに対して塗工・乾燥・巻き取りを1台で行う。レーザー乾燥は塗工材料を直接加熱するため、温風や紫外線(UV)乾燥に比べてエネルギー変換効率が高く、乾燥炉の長さや乾燥に必要な時間も減らせる。工場の小型化や二酸化炭素(CO2)排出削減にもつながる。

しかし、ワークや塗工材料によっては従来の乾燥方式から単純に置き換えることはできない。また外山社長は「販売先は電池業界を想定しているが、おそらく既存設備と入れ替えられるのではない。新工場建設時に新設備として導入を検討されるだろう」と見込んでいる。このため顧客仕様の量産機を販売する前段階として試作受注を始めた。

上越新幹線の燕三条駅からほど近く、県外からのアクセス環境も良い県央起業化センター(同三条市)の研究室を賃借して試作機を設置した。試作機にはレーザー乾燥装置2台と温風乾燥機1台を付けており、2種類の乾燥機の組み合わせや比較ができる。試作で顧客とのすり合わせを進め、3年後には量産機納入を目指す。

同社は4月、自動車部品大手の武蔵精密工業の傘下に入った。関連会社の武蔵エナジーソリューションズ(山梨県北杜市)で製造する蓄電デバイス「ハイブリッドスーパーキャパシタ」でも、今回開発した乾燥機の活用が見込まれている。

(2024/12/9 12:00)

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