[ その他 ]
(2016/3/9 05:00)
慈眼寺(仙台市太白区)住職の塩沼亮潤大阿闍梨(あじゃり)は、奈良・吉野の大峯山で「千日回峰行」を成し遂げたことで知られる。メディア登場の機会も少なくないが、何度聞いても、そのすさまじさに驚く▼春から秋の登山可能な時期に9年間、標高差1300メートルの獣道を勤行しながら登り降りする。中断は許されず、やめる場合は自ら命を絶つというのが古くからの掟(おきて)。睡眠は毎日4時間半、血尿や下痢も当たり前という命がけの荒行だ▼ビジネスマンには体調管理が欠かせない。勝負がかかった仕事では、寝食を忘れて没頭することもあるだろうが、体調不良のままでは十分なパフォーマンスを発揮できない。そもそも仕事をする気力が湧いてこない▼塩沼さんは行の途中で山に「行きたくないと思ったことはなかった」とケロっと話す。満行まで1日となった時に「人生生涯小僧のこころ」と書き記した。寺で床や庭を掃除した小僧時代と変わらぬ思いでいたい、という謙虚さがにじむ▼レベルは遠く及ばないが、ビジネスマンが日々の仕事にもまれるのも一種の修行と言えまいか。体の重い日にケロっとした顔で勤めを果たせるか。“小僧のこころ”を持っているかどうかに、差があるのかもしれない。
(2016/3/9 05:00)