[ ロボット ]
(2016/7/7 05:00)
【上海=藤崎竜介】中国最大級のロボット展「中国国際ロボット展覧会(CiROS2016)」が6日、上海市の国家会展中心で開幕した。拡大が続く中国の工場自動化(FA)市場で存在感を示すべく、日系企業はロボットの高度な応用技術で会場を沸かせている。中国系ロボットメーカーが台頭し、また欧州系の競合も攻勢をかける中、高付加価値領域を深耕し差別化したい考え。先端のFA技術が、どれだけ現地のユーザーに届くかが見どころだ。
安川電機は、垂直多関節ロボットを用いた溶接や研磨などのシステムを展示。「いままで自動化できていなかった難しい用途の提案がテーマの一つ」(廣田博康安川電機中国技術統括部長)という。大型ロボットが溶接ガンと定置溶接機を巧みに使い分けるデモなどを披露し、来場者の目を奪っている。
ダイヘンは主力のアーク溶接ロボットを中心にブースを構成。スパッタの発生を最大98%低減できる「シンクロフィード」技術などを紹介している。現地法人の西山佳伸統括課長は「ダイヘンだからこそできることをPRしたい」と意気込む。
今回、初参加となるのがオムロンだ。目玉は2015年に買収した米アデプトテクノロジー製のロボット。パラレルリンクロボットによる菓子類の仕分けシステムなどを披露し、現地の産業界にロボット企業としての“新たな顔”を売り込んでいる。
日系企業のブースでは、ロボットそのものの性能より応用技術のアピールが目立つ。背景にあるのが、現地ロボットメーカーの急成長だ。中国系大手の瀋陽新松機器人自動化(SIASUN)は、垂直多関節ロボット、パラレルリンクロボット、無人搬送車(AGV)など多種多様な製品を出展。また、広州数控設備(GSK)はアーク溶接や荷積みなどの自動化システムをPR。技術力では日系企業に及ばないが、簡単な用途では中国企業が着実に勢力を増していることは確かだ。このため日系各社は、これまで以上に高付加価値な用途を追求し、差別化を図っている。
中国は、15年の産業用ロボット販売台数が前年比約17・5%増の6万7000台(中国ロボット産業連盟調べ)を記録した世界最大級の需要地。それだけに、出展各社のアピール合戦は激しい。欧州からは現地家電大手の美的集団から買収提案を受けているドイツのクカも参加し、注目されている。
会期は9日まで。人件費高騰などにより現地でロボットを求める声が高まる中、会場は一段と盛り上がりをみせそうだ。
(2016/7/7 05:00)
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